一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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ポインセチアの葉の裏に別の葉が生えてきた

質問者:   一般   ayu
登録番号5504   登録日:2022-11-02
自宅で育てているポインセチアの苞葉の裏側の葉脈から、小さい葉っぱが生えてきました。
葉から葉が生えているのを不思議に思い、葉の発生についてインターネットで調べたところ、「茎頂分裂組織の周辺に葉原基が形成される」と書かれていました。
葉脈に茎頂分裂組織が存在することがあるのでしょうか?遺伝子の異常か何かでしょうか?

ayu様

 こんにちは。日本植物生理学会の植物Q&Aコーナーに寄せられたあなたのご質問「ポインセチアの葉の裏に別の葉が生えてきた」にお答えします。

 写真を拝見しました。これは苞葉ではなく、葉と思われます。クリスマスシーズンのポインセチアの赤い葉(のようなもの)は葉か苞葉か意見が分かれるのですが、この写真ではまだ花序が出ていないようですので、この時期の緑色のものは葉と見做してよいと思います。それはともかく、確かに葉脈から小さい葉のようなものが生えています。何でしょう?私はかつて見たことがありません。
 「茎頂分裂組織の周辺に葉原基が形成される」というのは、茎の先端にある細胞分裂の盛んな組織が茎自身と葉の原基を次々に作って大きく育ってゆくことを言ったもので、葉脈に茎頂分裂組織が存在することはありません。正常な発生ではこのような場所に葉が生じることはありえませんので、何らかの異常と思われます。葉は大きく分ければ葉脈と葉身から成り、正しい部位で正しいタイミングで葉脈を作る遺伝子または葉身を作る遺伝子が発現することで正しい形質の葉が形作られてゆきます。写真では葉脈の途中から葉身に変化しているようですので、この部位で葉身を作る遺伝子が誤って発現してしまったのでしょう。何が誤りを引き起こしたかはわかりません。「遺伝子の異常」と言った場合は遺伝子の構造自体が変化することを意味しますが、この場合は遺伝子の変化ではなく遺伝子の発現を制御するシステムの異常と思われます。この葉のようなものがこの先どうなるか私には予測できません。どうなるかしっかり観察してみてください。

竹能 清俊(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2022-11-09