質問者:
高校生
ニチニチ
登録番号5509
登録日:2022-11-13
アサガオがPHの違いによって色の変化するのかという疑問から、実際に実験を行いました。土壌条件は変えずに、与える水のPHを変化させてるという方法で行い、毎日夕方に2Lずつ弱酸性、中性、弱アルカリ性の水を与えました。みんなのひろば
アサガオとPHについて
1週間たっても変化かが起きなかったため、調べなおし、焼きミョウバンによって紫陽花では青くなるというものを参考にして、焼きミョウバンを少量先ほどの条件に加えて行いました。
すると、4日ほどで大きな変化が見られ、中性では紫色、アルカリ性では赤、桃色、酸性では青紫色となりました。酸性条件だけでの変化だと考えていたのですが、他の条件にも変化が見られました。これはどのような原因なのでしょうか?
加えて、焼きミョウバンとの関わりが知りたいです。ご回答お願い致します。
ニチニチさん
Q&Aコーナーへようこそ。歓迎いたします。アサガオの花は色、形状に実に様々な変り種がありますね。ほとんどは遺伝子の変化に基づくものですが、色に関しては栽培条件によって影響を受けます。同じ花でも蕾の時、開花の時、萎む時でいろの変化が見られます。勉強されておられると思いますが、アサガオの花色を担う色素はアントシアニンというフラボノイド(C6-C3-C6 の基本骨格の構造を持ち、4500種類以上ある)と呼ばれる一群の植物色素の一つです。アントシアニンは花の表皮細胞の中の液胞に存在します。一般に他の花でもまた他の花色素でも同様です。アントシアニンは酸性条件で赤色、中性で紫色、アルカリ性で青色を示しますが、栽培土壌のpH自体が直接液胞に溶けているアントシアニンの発色に影響しているのではありません。つまり土壌のpHによって液胞内のpHが調節を受けている訳ではありません。
アントシアニンが青色を発するにはアルミニウム(Al)が関係しています。Alイオンがアントシアニンとの間で金属錯体(金属と非金属との間で水素結合や配位結合でできる分子構造、クロロフィルとMg、ヘモグロビンとFe など)を形成する事によって青色に変わります。ニチニチさんが使った培養土にはどれだけAlが含まれていたのか分かりませんが、 Alは土壌中に約7%あると言われています。しかし、普通には不溶の形で存在します。しかし土壌が酸性になると溶け出して移動されやすくなります。もしAlが土壌中に然るべき量存在し、土壌が酸性に傾くと、遊離のAlが生じて植物体の地上部に道管を通じて他のミネラルナなどと共に輸送され、花の表皮細胞の液胞に入って、アントシアニンと錯体を形成するというわけです。因みにAlは多くの植物にとっては有害元素で、酸性度が強いと多量の遊離Al(イオン)が生じて、生育障害などを起こします。Alとアントシアニンとの関係については、アサガオと同様の花色の変化を示すアジサイの花(萼)の色について詳しい研究がなされており、本コーナーでも関連する質問がたくさんあります。アルミニウム、アントシアニン、アジサイ、アサガオなどのキーワードで検索して勉強してください。
以上のことから、ミョウバンを使った実験の結果はほぼ理解出来たのではないでしょうか。ミョウバンは特定の単独物質ではなく、R3R1(SO4)2・12H2Oの組成式で示される化合物の総称です。R3R1はそれぞれ3値の金属と1価の金属を示します。つまり2種類の金属との間に形成された硫酸塩(複塩)です。しかし、一般に唯ミョウバンという時はAlK(SO4)2・12H2O、つまり硫酸カリウムアルミニウム12水加物をさしますので、ニチニチさんが使ったミョウバンはアルミニウムを含んでいます。酸性にした土壌ではALが多く遊離して青色に近い色が、中性では遊離が少なくて紫色に、アルカリ性ではAlの遊離は起こらず赤色に止まったのでしょう。
Q&Aコーナーへようこそ。歓迎いたします。アサガオの花は色、形状に実に様々な変り種がありますね。ほとんどは遺伝子の変化に基づくものですが、色に関しては栽培条件によって影響を受けます。同じ花でも蕾の時、開花の時、萎む時でいろの変化が見られます。勉強されておられると思いますが、アサガオの花色を担う色素はアントシアニンというフラボノイド(C6-C3-C6 の基本骨格の構造を持ち、4500種類以上ある)と呼ばれる一群の植物色素の一つです。アントシアニンは花の表皮細胞の中の液胞に存在します。一般に他の花でもまた他の花色素でも同様です。アントシアニンは酸性条件で赤色、中性で紫色、アルカリ性で青色を示しますが、栽培土壌のpH自体が直接液胞に溶けているアントシアニンの発色に影響しているのではありません。つまり土壌のpHによって液胞内のpHが調節を受けている訳ではありません。
アントシアニンが青色を発するにはアルミニウム(Al)が関係しています。Alイオンがアントシアニンとの間で金属錯体(金属と非金属との間で水素結合や配位結合でできる分子構造、クロロフィルとMg、ヘモグロビンとFe など)を形成する事によって青色に変わります。ニチニチさんが使った培養土にはどれだけAlが含まれていたのか分かりませんが、 Alは土壌中に約7%あると言われています。しかし、普通には不溶の形で存在します。しかし土壌が酸性になると溶け出して移動されやすくなります。もしAlが土壌中に然るべき量存在し、土壌が酸性に傾くと、遊離のAlが生じて植物体の地上部に道管を通じて他のミネラルナなどと共に輸送され、花の表皮細胞の液胞に入って、アントシアニンと錯体を形成するというわけです。因みにAlは多くの植物にとっては有害元素で、酸性度が強いと多量の遊離Al(イオン)が生じて、生育障害などを起こします。Alとアントシアニンとの関係については、アサガオと同様の花色の変化を示すアジサイの花(萼)の色について詳しい研究がなされており、本コーナーでも関連する質問がたくさんあります。アルミニウム、アントシアニン、アジサイ、アサガオなどのキーワードで検索して勉強してください。
以上のことから、ミョウバンを使った実験の結果はほぼ理解出来たのではないでしょうか。ミョウバンは特定の単独物質ではなく、R3R1(SO4)2・12H2Oの組成式で示される化合物の総称です。R3R1はそれぞれ3値の金属と1価の金属を示します。つまり2種類の金属との間に形成された硫酸塩(複塩)です。しかし、一般に唯ミョウバンという時はAlK(SO4)2・12H2O、つまり硫酸カリウムアルミニウム12水加物をさしますので、ニチニチさんが使ったミョウバンはアルミニウムを含んでいます。酸性にした土壌ではALが多く遊離して青色に近い色が、中性では遊離が少なくて紫色に、アルカリ性ではAlの遊離は起こらず赤色に止まったのでしょう。
勝見 允行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2022-11-20