質問者:
高校生
ルー
登録番号5536
登録日:2023-01-03
学校の生物の授業で、シアノバクテリアは原核生物であると習いました。しかし、シアノバクテリアはクロロフィルaを持つとも習いました。原核生物であるシアノバクテリアは、葉緑体を持っていないはずなのに、どのようにクロロフィルを持ち、光合成を行っているのでしょうか?
みんなのひろば
シアノバクテリアについて
ルー さん
この質問コーナーをご利用いただきありがとうございます。
「クロロフィル(葉緑素、Chlorophyll)」を「葉緑体(クロロプラスト、Chloroplast)」に結びつけるところに誤解があるのではないかと思います。
「シアノバクテリア(Cyanobacteria)」は、核膜に包まれた核をもたない原核生物で、真核生物の葉緑体のような構造体(細胞内小器官)をもっておりません。しかし、細胞内には真核生物の葉緑体の内膜構造に相当する「チラコイド」が存在し、細胞全体が一つの葉緑体のように機能して光合成を行います(クロロフィルはチラコイド膜上のタンパク質に結合しています)。
(補足説明)
光合成を営む原核生物を大別すると「シアノバクテリア」と「光合成細菌」に分けられます(共に真正細菌)。両者の行う光合成には、有機物の合成に必要な電子の源として水(H2O)が利用されるか、されないかの違いがあります。シアノバクテリアの場合には水が利用され副産物として酸素が発生し(酸素発生型光合成)、光合成細菌の場合には水が利用されないため酸素が発生しません(酸素非発生型光合成)。なお、光合成器官として葉緑体を備えた真核光合成生物の営む光合成はシアノバクテリアと同じ酸素発生型です。
シアノバクテリアと光合成細菌の間には光合成色素にも違いがあります。シアノバクテリアの場合にはクロロフィル(クロロフィルa)が中心色素となっていますが、光合成細菌の場合にはバクテリオクロロフィルが光合成色素です。なお、クロロフィルとバクテリオクロロフィルは近縁の化合物です。ちなみに、真核光合成生物ではクロロフィル(クロロフィルaが中心で、クロロフィルbやクロロフィルcが補助色素として関与する場合がある)が中心色素として機能しております。シアノバクテリアの場合には、クロロフィルaに加え、クロロフィルb・クロロフィルd・クロロフィルfなど別の種類のクロロフィル類が含まれる種があることが知られています。
この質問コーナーをご利用いただきありがとうございます。
「クロロフィル(葉緑素、Chlorophyll)」を「葉緑体(クロロプラスト、Chloroplast)」に結びつけるところに誤解があるのではないかと思います。
「シアノバクテリア(Cyanobacteria)」は、核膜に包まれた核をもたない原核生物で、真核生物の葉緑体のような構造体(細胞内小器官)をもっておりません。しかし、細胞内には真核生物の葉緑体の内膜構造に相当する「チラコイド」が存在し、細胞全体が一つの葉緑体のように機能して光合成を行います(クロロフィルはチラコイド膜上のタンパク質に結合しています)。
(補足説明)
光合成を営む原核生物を大別すると「シアノバクテリア」と「光合成細菌」に分けられます(共に真正細菌)。両者の行う光合成には、有機物の合成に必要な電子の源として水(H2O)が利用されるか、されないかの違いがあります。シアノバクテリアの場合には水が利用され副産物として酸素が発生し(酸素発生型光合成)、光合成細菌の場合には水が利用されないため酸素が発生しません(酸素非発生型光合成)。なお、光合成器官として葉緑体を備えた真核光合成生物の営む光合成はシアノバクテリアと同じ酸素発生型です。
シアノバクテリアと光合成細菌の間には光合成色素にも違いがあります。シアノバクテリアの場合にはクロロフィル(クロロフィルa)が中心色素となっていますが、光合成細菌の場合にはバクテリオクロロフィルが光合成色素です。なお、クロロフィルとバクテリオクロロフィルは近縁の化合物です。ちなみに、真核光合成生物ではクロロフィル(クロロフィルaが中心で、クロロフィルbやクロロフィルcが補助色素として関与する場合がある)が中心色素として機能しております。シアノバクテリアの場合には、クロロフィルaに加え、クロロフィルb・クロロフィルd・クロロフィルfなど別の種類のクロロフィル類が含まれる種があることが知られています。
佐藤 公行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2023-01-04