一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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冬に野菜の葉が赤くなる理由

質問者:   会社員   ニシ
登録番号5549   登録日:2023-01-20
人参やイチゴ葉ですが、1月の時点で赤くなっています。
寒さのためまでは分かりましたが、もう少し具体的な理由が知りたいです。 

ニシ 様

このコーナーのご利用ありがとうございます。ご質問には名古屋大学の吉田久美先生が回答文をご用意くださいました。参考になさってください。

【吉田先生からの回答】
寒さは植物にとっても一種のストレスになります。その対応として、葉にアントシアニンを生合成して貯める植物がいくつかあります。アントシアニンは、抗酸化性などの性質も持ちますので、そのような機能による自己防御のためかもしれません。あるいは、クロロフィルが壊れてくると紫外線防御のためにアントシアニンを生合成するという説もあります。これは、新芽が赤い木についても言われていることで、クロロフィルが十分に貯まるまでアントシアニンで有害な紫外光から護っていると考えられています。ただ、秋の紅葉もクロロフィルの分解に伴い、アントシアニンが生合成され貯まってくる現象です。ただし、この場合には、離層ができて、最終的に葉は落ちますので、これと、寒くなった時のニンジンやイチゴの葉の赤色化が同様の反応によるものかどうかは、私、専門が異なるのでちょっとわかりかねます。つまり赤くなるのが、何らかのストレス応答の結果なのか、積極的にストレスに対抗するために物質(アントシアニン)を生合成するのかについては、まだはっきりとした結論は出ていないかと存じます。いずれにせよ、アントシアニン生合成のスイッチがはいって貯まってくることは確かです。
吉田 久美(名古屋大学大学院情報学研究科複雑系科学専攻)
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2023-02-03
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