一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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コマツヨイグサは一年草,多年草どれでしょうか?

質問者:   教員   t-hiro
登録番号5560   登録日:2023-02-03
海岸清掃のボランティア活動でコマツヨイグサ等の外来植物の駆除に協力しています。講師の先生から「コマツヨイグサは多年草」と説明を受け,また,冬期の駆除において,芽生えがロゼット状で越年する様子や,茎や根の部分が生き残った状態で越年する様子を見てきたので,コマツヨイグサは多年草を考えていました。しかし,インターネットで調べてみると「一年草」,「一年生・多年生」,「越年性」,「一年生・二年生・多年生」など,表記が様々です。「一年生」「多年生」等の判断基準はどうなっていて,コマツヨイグサの場合は,どれが正しいのでしょうか?
よろしくお願い致します。
t-hiro様

Q&Aコーナーヘようこそ。歓迎いたします。
ご質問は語法の問題です。日本ではご指摘のように一年生草本(annuals)、2年生(越年生)草本、(biennials)、多年生草本(perennials)という言葉が使われています。しかし、「多年草(perennials)」というと、毎年毎年限りなく生活環を繰り返す植物のように思いますが、実際には10年位で消え去って行くのが普通のようです。もちろん中にはかなり長く続く種類もあります。そして、さらに2〜3年で消え去る多年草もあります。英語では、それぞれ、long-lived perennials、short-lived perennials と呼んでいます。強いて訳せば、それぞれ長命多年草と短命多年草とでも言いましょうか。短命多年草は2〜3年で消えて行く植物です。これらの植物が実際どれだけ長年に亘って生活環を繰り返すかは、もちろん生育条件・環境に大きく影響されます。しかし、多年草と呼ばれても、未来永劫に生活環を繰り返すものではありません。
お尋ねのコマツヨイグサは外来種の植物です。北アメリカに自然分布しており、繁殖力が強いので日本では外来生物法によって要注意外来種に指定されています。アメリカではコマツヨイグサ(Oenothera laciniata)は short-lived perenial とされています。日本では観察された生育状況でいろいろな判断がなされたのでしょう。したがって、答えはいずれもありえます。
なお、 short-lived perenialsとされているアメリカの他の植物の一部を次に列挙しておきますので参考にして下さい。
Aquilegia spp. (オダマキの仲間)、Delphinium spp.(デルフィニウムの仲間)、Diantthusb spp.(ナデシコの仲間)、Erysimum linifolium (Gypsophila paniculata(シュッコンカスミソウ)、ヒヤシンス、Leucanthemum spp. (フランスギクの仲間)、Linum perenne (シュッコンアマ)、Lychnis chalcedonica(アメリセンノウ)、 Scabiosa spp. (マツムシソウの仲間)、Silene virginicum (ファイヤーピンク)Tanacetum cocoineum (アカバナムシヨケギク)他。
勝見 允行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2023-02-05
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