一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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シャジクモの卵胞子の減数分裂について

質問者:   高校生   Km
登録番号5562   登録日:2023-02-04
シャジクモは精子と卵が受精して卵胞子(2n)を作り、減数分裂を行った後に発芽するとネット上で見ましたが、減数分裂を経たということは一つの卵胞子から4つの芽が生えてくるということですか?
Km さん

この質問コーナーをご利用いただきありがとうございます。
シャジクモ(学名:Chara braunii)の場合、藻体は配偶体(核相:n)で、雌性配偶子嚢としての「生卵器(Oogonium)」と雄性の配偶子嚢としての「造精器(Antheridium)」が藻体上に作られ、生卵器の中で成熟した卵細胞(雌性配偶子)と造精器から遊出した精子(雄性配偶子)の間で受精が行われて「接合子(受精卵):Zygote(2n)」となり、これが成熟して「卵胞子(Oospore)」となります。
卵胞子は一定の条件が満たされれば発芽を始めることになりますが、その際には体細胞分裂は行われず、減数分裂が行われることで発芽が始まり、仮根(Young Rhizoid)と原糸体(Protonema)が芽吹き、原糸体はやがて頂端細胞を備えた藻体へと成長して生活環(Life cycle)を一巡します。そこで問題となる質問のポイントですが、「受精卵細胞の減数分裂の結果として生ずる4個の細胞のうち、1個だけが胚(n)として成長して行く」ようです。

シャジクモ類は陸上植物の起源に関連して注目されており、ゲノム解析も進められています。関連論文の中で、下記の(文献)のFig. 2(Title:Life Cycle and Habit of Chara braunii)として、シャジクモのライフサイクルの解説図が掲載されていますのでご参照をお勧めします(英文ですが、解りやすいと思います)。

(文献)Tomoaki Nishiyama et al. (2018) The Chara Genome: Secondary Complexity and Implications for Plant Terrestrialization. Cell, vol. 174, pp. 448-464.
佐藤 公行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2023-02-11
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