一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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根腐れについて

質問者:   一般   あおば
登録番号5565   登録日:2023-02-11
趣味で観葉植物などを育てています。
育て方をネットで調べると、水のやりすぎは根腐れの原因になる、と書いてありました。

ですが、観葉植物の多くは熱帯雨林などの雨が多い環境に自生していると思います。

そこで質問です。自然界で「根腐れ」は起きないのでしょうか?
あおば 様

ご質問、有り難うございます。
観葉植物の専門家ではございませんが、植物生理学の観点からお答え致します。
お調べの通り、観葉植物に見られる根腐れは、水のやり過ぎが主な原因で、根が嫌気状態にさらされて弱り、カビなどが繁殖してダメージを受けます。観葉植物は、根に対して土壌の割合が少なく、また本来成育している自然の状態とは大きく異なる環境(室内では、温度の変化や風など環境が制御されていて、蒸散量や光合成量も大きく異なります)で成育していますので、それだけでも大きなストレスを受けていると思われます。

一方、自然界では、発芽した土壌環境や温度・気象環境に最も適した植物が、優占種として(その環境に対して、他の弱い植物を押し退けて)育ちますので、余程の洪水や大雨にあわない限りは、根腐れは起こさないと思われます。植木鉢のような狭い土壌とは異なり、必要に応じて悠々と根を伸ばします。ちなみに、イネなど湛水条件で育つ植物は、根の外側に厚壁組織という特殊な組織が発達し、根の中心部付近に地上部から酸素が届くような穴を作り(レンコンの穴を想像して下さい)、地上部から酸素を送るとともに、根の外に出ないように、この厚壁組織がガス拡散を防ぎ、根の酸素分圧を保ちます。畑状態で育つ植物には、まねのできない機能を獲得しています。
種類が異なる多くの植物は、それぞれが成育できる環境で繁栄しますので、それと異なる環境で育成される観葉植物の病気は、人が影響しているのではないでしょうか?
水はけの良い土壌を選び、少し大きめの鉢で、しおれない程度の適度な水やりと、光や温度、風なども工夫され、楽しんで育てて下さい。
山谷 知行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2023-02-15
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