一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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枝葉の下に広がる雑草

質問者:   会社員   はるか
登録番号5615   登録日:2023-04-26
こんにちは。
私はよく公園を歩くのですが、よく見ていると、枝葉の下に雑草が茂る木と、そうでない木がある気がします。
なぜ、このような違いが生まれるのでしょうか?

前者はマツやクスノキが多く、木の幹は芝地の端っこにあり枝葉は砂利道上に出ている、というシチュエーションの時に、枝葉の下に雑草がたくさん繁っているのをよく見かけます。

後者はサクラやモミジが多く、同じようなシチュエーションであっても、枝葉の下に雑草を見かけることはあまりありません。

茶庭では苔を大事にし、雑草を抑制するためにモミジをたくさん植えることがある、と聞いたことがあります。
なにか関連性があるのでしょうか?

教えていただると嬉しいです。
よろしくお願いいたします。
はるか様

こんにちは。日本植物生理学会の植物Q&Aコーナーに寄せられたあなたのご質問「枝葉の下に広がる雑草」にお答えします。

 難しい問題です。状況が良く分からないことと、様々な可能性があることのためです。
 「雑草を見かけることはあまりない」というのはイメージがわくのですが、「雑草がたくさん繁っている」というのはサクラやモミジの下と比較すれば相対的には多いということでしょうか?それとも積極的な促進が想定されるほどに繁茂しているということでしょうか?また、場所が公園だということですので、管理者による除草や入園者の踏圧などの人為的な影響が考えられますので、植物学的に説明可能な現象かどうかが分かりません。
 囲いなどをして人為的な影響を排除して様子を見ることが出来ればいいのですが、取り敢えず人為的な影響は無いものと仮定して考えてみます。雑草が茂る木の下とそうでない木の下では、土壌の質や水分条件、栄養条件などが異なることはないでしょうか?雑草を植えたプランターをそれぞれの樹下に置いて雑草の生育を比較すれば、土壌環境の影響を排除することができ、樹種の影響またはその場所の微気象や光条件などの生息環境の影響を見ることができます。また、それぞれの樹下の土壌を採取して、その土壌で雑草を育ててみれば、土壌の相違に原因があるかどうかの推定が出来ます。ただし、この場合は次に述べるアレロパシーの関与も排除できません。
 もし、土壌環境や生息環境ではなく樹種の相違に原因があるならば、アレロパシー(本質問コーナーの登録番号3703, 4407, 4688などをご覧ください)が最も考えやすいと思います。サクラやモミジは雑草の生育を阻害する化学物質を分泌しているかもしれません。もし、マツやクスノキの樹下では雑草の生育が積極的に促進されているのであれば、生育を促進する化学物質が分泌されているかもしれません。あまり例の無いことですが、阻害だけでなく促進もアレロパシーだという考えもあります。
 コケ庭の事は私は分かりませんが、コケ庭にモミジを植えることが多く、その目的が雑草を抑制することであるのならば、これもアレロパシーで説明できそうです。
竹能 清俊(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2023-05-04
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