一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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ジャガイモの葉について

質問者:   高校生   のんのん
登録番号5629   登録日:2023-05-10
ジャガイモの葉を使って肥料を作りたいのですが、ジャガイモには毒が含まれていて肥料に適さないと聞きました。そこで、ジャガイモの葉にはどのような成分が含まれているのか詳しく教えてほしいです。
のんのん 様

ご質問、ありがとうございました。
ジャガイモの葉を使って肥料を作りたいとのことですが、この肥料とは、土にすき込んで使ういわゆる緑肥(このQ&Aコーナーの登録番号5612をご覧下さい)でしょうか、あるいは堆肥(Q&Aに多くの情報があります。検索して見てください)でしょうか?どちらにしましても、土の中で植物由来の有機物は分解されますので、大きな影響はないと思います。ジャガイモの毒素はアルカロイドに糖が結合したグリコアルカロイドという有機物ですが、そのほとんどはジャガイモの芽や未熟で表面が緑色をしているイモに含まれており、葉を含む他の器官には含まれていません。農林水産省のHPに、ジャガイモの毒素に関する詳細な記述がありますので、参考にしてみて下さい。
<https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/solanine/potato_alkaloid_QA.html>
じゃがいもに含まれる天然毒素「ソラニン」や「チャコニン」に関するQ&A:農林水産省 (maff.go.jp) このHPにも、土壌中に残るジャガイモ毒素は、分解されて、次に栽培する作物に移行することはないと明記されています。

さて、ジャガイモの葉に含まれる成分は何かということですが、他の多くの双子葉植物と変わりません。細胞壁に関わるセルロースなどの多糖類、光合成や多くの代謝に関わる多種多様なタンパク質、生物膜を構成する脂質、情報を司るDNAやRNAなどが主なもので、他にCaやMgといったミネラルがあります。有機物は、いずれも土壌中で分解されますので大きな心配はありませんが、上記の緑肥としてジャガイモが積極的に使われている例はないようです。また、ジャガイモはナス科の植物であり、連作障害が起こりやすい代表的な作物です。連作障害は、特定の土壌細菌やウイルスが増加したり、肥料成分のバランスが大きく崩れたりすることにより、起こると言われています。ですから、ジャガイモを栽培したあとの畑に、ジャガイモの地上部を肥料にして、またナス科の作物(例えばナス、トマト、ピーマン、トウガラシなど。勿論ジャガイモも)を次に栽培するのは避けた方がいいと思われます。栽培作物を周期的に変える輪作は、昔から世界中で行われています。

山谷 知行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2023-05-15
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