一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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クチナシの花弁の数

質問者:   一般   なし
登録番号5647   登録日:2023-05-23
クチナシの花弁の数の質問と回答を読みましたが、今一つすっきりしません。クチナシは原種タイプだと6弁、ヘクソカズラは5弁が基本、ハクチョウゲも5枚が基本と説明をされました。この時の「原種タイプ」と「基本」の意味の違いが理解できません。植物学的に定義された専門用語があるのではないしょうか。先ずその言葉で説明してください。特に「クチナシの原種タイプだと6弁」は、フィナボッチ数列では6はありません。タヒチヌイ航空のマークが7枚になっているが、タヒチクチナシの写真をみたり、フィナボッチ数列では8があるので、タヒチクチナシは8枚だと思っていました。以上ろしくお願いします。
なし様
 
こんにちは。日本植物生理学会の植物Q&Aコーナーに寄せられたあなたのご質問「クチナシの花弁の数」にお答えします。

 本Q&Aコーナー登録番号3787(クチナシの花弁の数)の回答文中の「クチナシは原種タイプだと6弁」の「原種タイプ」とは、八重咲のような園芸品種ではない、人為的に改良していない元々の祖先種、野生種のことで、「原種」は専門用語です。「ヘクソカズラは5弁が基本」の「基本」は一般的な日本語で、専門用語は必要の無いものです。4弁のことも6弁のこともあるが5弁が普通だということです。
 原種のクチナシが6弁であるように、花弁の数は種ごとに決まっているのが普通で、単子葉植物では3、双子葉植物では5が多く、アブラナ科では4のことが多いです。これらの数はフィボナッチ数列(フィナボッチではありません)とは本質的には関係ありません。現に、4弁、6弁の花がたくさんあるのに対して、1弁、2弁、13弁の花を知りません。葉序や様々な螺旋配列の螺旋の数を始め、植物だけでなく生物の世界の数にはフィボナッチ数列の中の数と一致するものが多いのですが、その理由は説明できておらず、偶然の一致というのが本当のところでしょう。
 タヒチヌイ航空という航空会社があるのは知りませんでしたが、ホームページを調べてみたところ、この会社のマークはタヒチの国花であるタヒチクチナシ(クチナシと同属)を使っているとのことで、7枚の花弁が描かれていました。花弁が7枚の花は珍しいのでタヒチクチナシについて調べてみましたら、花弁は6枚または7枚が普通で、5枚や8枚のこともあるとのことでした。同一種でも花弁の数が様々に変動することはよくあることです。
竹能 清俊(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2023-05-26