一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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葉の中心部の色

質問者:   高校生   モト
登録番号5650   登録日:2023-05-24
近所に植っているドイツトウヒの葉を縦にカッターで割くと、緑色の柵状組織に左右を挟まれて、筋っぽく白い維管束と髄の塊が見えました。その後ちょうど冬芽の鱗片から出たばかりの若い葉を割くと、見えた維管束と髄は透明でゼリー状でした。成長しきった葉の髄が白く乾燥して見えるのはなぜですか?
モト さん

この質問コーナーをご利用いただきありがとうございます。質問には森林総合研究所の安部 久博士から下記の回答文を頂戴しましたので参考になさってください。

【安部博士からの回答】
マツ科の樹木の葉の中心部には、水や養分を葉全体に供給する役割を果たす維管束があり、その周囲を髄の柔細胞が取り囲んでいます。これが若い葉の髄が透明でゼリー状であるのは、新たに成長したばかりの組織であるためです。この段階では、髄は水分や栄養を含んでおり、柔軟で透明な状態を保っています。冬芽の鱗片から出たばかりの若い葉はこの状態だと思います。一方、成長に伴って成熟した葉の髄が白く乾燥して見えるのは、髄内の水分や栄養が失われているためです。成長するにつれて、葉は水分を蒸散させる機能を持ち、維管束は乾燥して水分通道の機能を持ちます。また、葉の組織は乾燥し、髄の中の水分も失われることになります。このように乾燥することで、髄は白く見えるようになります。ドイツトウヒも、同じように考えると良いと思います。
安部  久(森林総合研究所木材加工・特性研究領域長)
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2023-05-30
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