一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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センブリの草丈

質問者:   会社員   山本seni
登録番号5659   登録日:2023-06-01
私の散歩コースにはこの時期に急激に草丈が伸び始める植物があります。近所のおじいさんに聞いてみたところ、それはセンブリとのことでした。調べてみるとセンブリは2年草で、1年目は殆ど伸長せずロゼット状で過ごし、2年目の春から急激に伸びだすことが分かりました。
そこで質問なのですが、2年目に急激に伸びだすのは、どういったメカニズムなのでしょうか?何か独特なシグナル伝達などがあるのでしょうか?
宜しくお願い致します。
山本seni 様

Q&Aコーナーへようこそ。歓迎いたします。ロゼット型の成長期を持つ草本植物は非常に沢山あります(登録番号3522を読んでください)。一般に越年草や短期の多年草などが越冬する時の成長型として観察されます。なぜこのような型をとるのかについては、厳しい温度や、乾燥などなどの外的環境に対応するためだと言われていますが、詳しいことは登録番号0226を読んでください。
さて、ご質問の2年目に急速に伸びる現象は抽台(薹)と呼ばれている成長で、一般的には薹(とう)が立つ(英語ではbolting)と言います。ロゼットでは茎の節間(葉と葉の間)は著しく短くなっています。抽台はこの茎が急に伸長をはじめることで、最終的には花をつけ、種子を形成したら枯れます。急激な伸長は植物ホルモンのジベレリンによるものです。
つまり、環境要因が刺激となって植物体内でジベレリンの生成が始まリます。植物によって異なりますが、主に日長(短日/長日)、温度(低温期の経験とそれに続く一定の高温期)が一般的な要因です。少し難しいかもしれませんが、花芽形成も含めて、抽台をコントロールする物質について登録番号3421を読んでください。
なお、関連する事柄として。登録番号2542, 2549, 4797があります。
勝見 允行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2023-06-09
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