一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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植物細胞の細胞壁は一個の細胞につき1つ?

質問者:   教員   やま
登録番号5677   登録日:2023-07-01
中学2年生で細胞のつくりを学習している授業で出された質問です。
教科書の図や実際の観察で、植物細胞は1つ1つの細胞が隙間なく並んでいるようすがわかります。
植物細胞の模式図では細胞壁を描きますが、細胞壁は1つの細胞に必ず1つあるのでしょうか?
もしそうなら、隙間なく並ぶとなりの細胞とは細胞壁同士がとなりあっていることになるのですが。
それとも植物細胞は細胞壁を共有しているのでしょうか?
どちらの解釈が正しいのか、ご教授いただけるとありがたいです。
やま様

みんなのひろば・植物Q&Aに質問をお寄せくださり、ありがとうございます。

まず「植物細胞の細胞壁は一個の細胞につき1つ?」の質問ですが、お考えの通りです。それぞれの細胞が細胞壁をもっています。隣の細胞にも細胞壁があり、細胞壁同士が接しています。

次に「植物細胞は細胞壁を共有しているのか」の質問ですが、「となりの細胞とは細胞壁同士がとなりあっている」とのご理解であっています。実はこれはとても深い質問です。細胞壁は「壁」という名前ですが、セメントを流し込んだような詰まった構造ではなく三次元の網目構造を形成しているので、水やイオンなどはもちろん、一部のタンパク質や植物ホルモンは細胞壁から細胞壁に移動できます。そのため、個々の細胞が細胞壁をもっていますが、同じ組織の中では細胞壁の変化や機能は隣接する細胞同士で共有されている場合も多いと考えられます。
小竹 敬久(JSPP広報委員長)
回答日:2023-07-01
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