一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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サポニン抽出について

質問者:   高校生   高校生
登録番号5686   登録日:2023-07-12
学校の課題研究で枝豆からサポニンを抽出しようとしています。ジャガイモのサポニン定量法についての質問
https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=451 
を参考にさせていただいているのですが、質問への回答の中で「サポニン類は極性溶媒に溶けやすいため、メタノールで抽出します。80℃、1時間を3回繰り返し、植物組織からサポニン類を完全に抽出します。」とありますが、大気圧中の80°cではメタノールは蒸発してしまうのではないでしょうか。具体的にどのような抽出方法を行うのか教えていただきたいです。
高校生君

Q&Aコーナーへようこそ。歓迎いたします。本当に長いこと待たせてしまってごめんなさい。もう他で情報を得られたかもしれませんが、こちらの回答も送ります。回答は植物のサポニンの研究をされている、広島大学大学院医系科学研究科薬学部付属薬用植物園の山野幸子先生にお願いしました。

【山野先生からの回答】
ご質問者様の疑問はその通りで、この文章のまま抽出を行うと沸点が64.7度のメタノールは蒸発してしまいます。

この場合は、加熱還流という手法を使って、メタノールが揮散しないように抽出をします。
加熱還流とは、還流冷却器を付けて行う実験になります。メタノールなどの抽出溶媒が蒸発「後に揮散」しないように、還流冷却器で再度冷やして(液化させて)、ナスフラスコに戻します。こちらのサイトを見ていただければ参考になるかと思います。(https://www1.meijo-u.ac.jp/~tnagata/blog/20140623.html <https://www1.meijo-u.ac.jp/~tnagata/blog/20140623.html%EF%BC%89>)
得られた抽出液は、https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=451 <https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=451>に書いてある通り、濾過後、エバポレーターなどを使って溶媒を留去し、抽出成分を得ます。

加熱をすると抽出は早く終わりますが、室温で一週間おいていても抽出はできますので、加熱還流ができなくてもサポニン成分の抽出は可能です。
しかしながら、定量分析を行いたい場合は加熱還流をするのが良いと思います。
沸点が低い他の有機溶媒で抽出するときも、同様な装置が使われます。

山野 幸子(広島大学大学院医系科学研究科薬学部付属薬用植物園)
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2023-09-02
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