一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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オオカナダモから発生する気体について

質問者:   大学生   まるまる
登録番号5690   登録日:2023-07-19
光合成の実験の一つであるオオカナダモを使った気泡計測法で、切り口から発生する気体の酸素濃度は具体的にはいくらくらいになるのでしょうか。オオカナダモは気孔がないと習いましたが、二酸化炭素の吸収と同じように細胞全体で期待を排出しているという認識で合っていますか。
まるまる 様

この質問コーナーをご利用いただきありがとうございます。
先ずは、関連深いQ/Aが掲載されていますので、本コーナーの登録番号3366をご覧ください。

沈水植物であるオオカナダモでは通気組織が発達しており、この部分には大気の組成に近い気体が貯えられているようです。一方、植物体はもっぱら水中で生活するために気孔を備えておらず、光合成の副産物として体内で発生する酸素は細胞/組織全体から外囲の水中または通気組織の気中に放出されることになります。「気泡計測法」で測定されるのは、酸素濃度の増加に伴って通気組織中の気体の圧力が高まる結果として、切り口から漏れ出る貯蔵気体の気泡です。この気体の成分組成比は、光合成の活性の強さや継続時間によって大きく変化するものと思われますが、私が文献を調べた限りでは、窒素50~70%、酸素50~30%程度の値を示すのが一般的であるように見受けられます。

気泡計測法の特徴は、ノズル(気泡取り出し口)の工夫などによっては比較的簡便に定量的な解析ができる点にあるかと思います。このような特徴のせいか、気泡計測法を用いる解析は小学生や中学生のチャレンジを受けることが多いようですね。光合成の活性が組織中の貯蔵ガス圧の変化を介して “間接的に反映される”ことになるので、場合によっては測定結果の解釈に思案が必要になるかも知れません。
佐藤 公行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2023-07-21
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