一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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水草の葉に毛が生えたわけ

質問者:   小学生   うさぴょん1号
登録番号5704   登録日:2023-08-03
水草の研究をしていて、不思議に思ったのですが、
トライコームという植物の葉や茎、花に生えている毛が
水草(サンショウモ属)にも生えている意味やどのような進化をして生えるようになったかを知りたいです。
教えてください。
うさぴょん1号 様


ご質問、有り難うございました。私は、植物の形作りの専門家ではありませんが、一緒に考えて見ましょう。

まず、サンショウモ属の水草ということですが、シダ植物の仲間になるようです。シダ植物とは、種子ではなく胞子で増える性質があり、その意味では進化的には地上の植物よりは早く誕生したと思われます。さて、トライコームのことに関しましては、このコーナーでも多く取りあげられています。登録番号2383, 3804, 4087, 4116などをよく読んでみて下さい。一般に、トライコームは、外敵(昆虫や小動物など)から物理的に身を守るために、表皮細胞から分化したものと言われています。他にも、化学的に外敵の嫌がる物質をため込んだり、外敵の天敵を誘引する物質をため込んだりしていることも知られており、様々な役目をしているようです。シダ植物にもトライコームはあることが多く、この水草は陸上から水中に進出したのかも知れません。その際に、トライコームを失うことがなかったと言うことは、何か利点があったのだと思われます。うさぴょん1号さんが観察している水草は、進化的には早い段階にこの防御システムを身につけたと思われますが、実際にどのような機能を果たしているのかは、私はわかりません。水中での外敵は、貝類、エビなどの甲殻類、魚類、それに鳥類などがあげられると思います。もしも地上の植物と同じように、物理的・化学的な役割をしているとすれば、外敵となる生物を加えて、例えばトライコームを注意深くいくつか折ってみて、その後の水草の成育がどの様になるか、観察してみても面白いのではないでしょうか?乱暴な実験になりますが。
山谷 知行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2023-08-04
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