質問者:
会社員
みらくりん
登録番号5725
登録日:2023-08-24
落葉樹では無い樹木が葉を落とすときは、光合成で養分を生成する役割の葉を残しながらバラバラに葉を落とす、とこちらで拝見いたしました。みんなのひろば
常緑樹の葉を全部落とした場合はどうなるのか
そこで質問なのですが、仮に常緑樹全ての葉を故意に落とした場合、その植物はその後どうなりますか。
みらくりん様
Q&Aコーナーへようこそ。歓迎いたします。突飛なことを思い付かれましたね。まず緑陽樹と落葉樹の生活様式の違いを思い出してください。葉緑樹は一年中成長を続けていますが、落葉樹は普通秋から冬の気温の低い時に葉を全部落としてしまい、成長を休止します。つまり、休眠します。休眠中は新しい器官の形成などはしないから、そのためのエネルギーの供給も最低限ですみます。したがって、葉による光合成でどんどん有機物を生産する必要もありません。しかし、このような休眠を長期間継続させたら、貯蔵された栄養分も枯渇し、水分供給も限られ、いずれ枯死するでしょう。他方、常緑樹は成長の継続のために、常に多量のエネルギーの供給が必要なので、その供給源としての葉の存在は必要です。しかし、老化した葉をいつまでも保持しておくわけにはいかないので、少しずつ落葉して、新葉と取り替えています。したがって、常緑樹の葉を全部取り除いたら、極端な場合は枯死するかもしれません。しかし、樹木に十分な体力があれば、つまり体内に多量のエネルギー源が蓄えられていれば、新芽の形成、残っている芽の成長があって、なんとか生き延びると思います。
もちろん、植物の種類によるでしょう。葉を除去する時期も関係するかもしれません。常緑樹といえども、冬の気温の低い時期はやはり成長活性も低下していますので、この時期に丸裸にされるのと、盛んな成長期にそうされるのとでは違いがあるかもしれません。
さらに、もう一つ重要な葉の役割があります。植物は根から吸水し、土壌にある成長・生命活動の維持に必要な無機物質(養分)を一緒に取り込みます。この吸水の原動力が葉の気孔からの蒸散作用です。したがって、葉がないと、樹木は水分を体の隅々まで行き渡らせることはできません(本コーナーで「蒸散」という項目を検索していただくと、たくさんの蒸散に関する質問があります)。
結論からいうと、その樹木の種類、年齢、生育状態、季節、気温・湿度などの環境条件等によって枯死から衰弱までのどれかの状態になるのではないでしょうか。
樹木は一般に木を切り倒しても、切り株付近の幹に残っている潜伏芽(本コーナーで検索してください)が成長を開始し、再生するのはよくあることですので、そういう意味では完全に死んでしまうことはないと思います。
Q&Aコーナーへようこそ。歓迎いたします。突飛なことを思い付かれましたね。まず緑陽樹と落葉樹の生活様式の違いを思い出してください。葉緑樹は一年中成長を続けていますが、落葉樹は普通秋から冬の気温の低い時に葉を全部落としてしまい、成長を休止します。つまり、休眠します。休眠中は新しい器官の形成などはしないから、そのためのエネルギーの供給も最低限ですみます。したがって、葉による光合成でどんどん有機物を生産する必要もありません。しかし、このような休眠を長期間継続させたら、貯蔵された栄養分も枯渇し、水分供給も限られ、いずれ枯死するでしょう。他方、常緑樹は成長の継続のために、常に多量のエネルギーの供給が必要なので、その供給源としての葉の存在は必要です。しかし、老化した葉をいつまでも保持しておくわけにはいかないので、少しずつ落葉して、新葉と取り替えています。したがって、常緑樹の葉を全部取り除いたら、極端な場合は枯死するかもしれません。しかし、樹木に十分な体力があれば、つまり体内に多量のエネルギー源が蓄えられていれば、新芽の形成、残っている芽の成長があって、なんとか生き延びると思います。
もちろん、植物の種類によるでしょう。葉を除去する時期も関係するかもしれません。常緑樹といえども、冬の気温の低い時期はやはり成長活性も低下していますので、この時期に丸裸にされるのと、盛んな成長期にそうされるのとでは違いがあるかもしれません。
さらに、もう一つ重要な葉の役割があります。植物は根から吸水し、土壌にある成長・生命活動の維持に必要な無機物質(養分)を一緒に取り込みます。この吸水の原動力が葉の気孔からの蒸散作用です。したがって、葉がないと、樹木は水分を体の隅々まで行き渡らせることはできません(本コーナーで「蒸散」という項目を検索していただくと、たくさんの蒸散に関する質問があります)。
結論からいうと、その樹木の種類、年齢、生育状態、季節、気温・湿度などの環境条件等によって枯死から衰弱までのどれかの状態になるのではないでしょうか。
樹木は一般に木を切り倒しても、切り株付近の幹に残っている潜伏芽(本コーナーで検索してください)が成長を開始し、再生するのはよくあることですので、そういう意味では完全に死んでしまうことはないと思います。
勝見 允行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2023-08-26