一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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冬瓜の茎の毛を顕微鏡で見たら

質問者:   中学生   ことな
登録番号5726   登録日:2023-08-25
家の庭にあった冬瓜の茎についていた毛のようなものを顕微鏡で見てみたら、すごい速さで、黒い小さなものが動いていました。
オオカナダモの原形質流動の2倍以上の速さで動いていたので、どういうことかなと思い質問させていただきました。(500倍で見ました。ゴミではないと思います)。
水などは一切付けておらず、そのまま観察しました。これはどういう現象ですか?
ことなさん

Q&Aコーナーへようこそ。歓迎いたします。
 トウガンの茎に生えている毛のようなものはトライコーム(網状突起)といいます。いろいろな植物のいろいろな器官でいろいろな形がみられます。その働きもいろいろです。トライコームについては過去にたくさんの質問が本コーナーに寄せられていますので、本コーナーで「トライコーム」と検索して勉強して下さい。
 質問にある「黒いもの」は何かということは、残念ながら、この質問内容からだけでは全く答えられません。一番いいのは動画がある事ですが。せめて写真でもあれば、いくつかの可能性を推定することができるかもしれません。
 オオカナダモの原形質流動の倍以上の速度で動いているということですが、オオカナダモの原形質流動の速度は大体秒速27μm(1μmは1mmの1,000の1)ですので、だいたい秒速60μm/sec)ということになりますね。トウガンの茎のトライコームを実際に見たことがないので、写真でみました。長さはどのくらいですか?5mm前後ですか。いずれにしろ500倍の倍率でみたら、トライコームのごく一部だけを見ていることになりますね。そうすると、この黒いものは顕微鏡下では秒速3cmで動いていることになりますから、どうやって観察したのですか。
 それからもう1つ。トライコームでは原形質流動はみられましたか。もし見られたら、黒いものの動きは原形質流動に沿ったものでしたか。それとも動きの方向性はなく、あちこち動き回っていたのでしょうか。植物細胞の中の構造が黒い単体でそんなスピードで動いているものは知られていません。細胞の中の何かの構造体が一定の速度で動くとすれば、たいてい原形質流動と共に動きます。
もし、微生物が共生していたら、あり得るかもしれません。あるいは、トライコーム細胞の表面で動いていた黒いものを観ていたのであれば、それは微生物かもしれません。
さらに、観察光の具合で細胞内の顆粒のような小さな液胞などが黒く見えていたのかもしれません。しかし、スピードを考えると疑問です。
勝見 允行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2023-08-29
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