一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

チェックリストに保存

ポリフェノールは太陽光を浴びるほど増えますか?

質問者:   会社員   y
登録番号5747   登録日:2023-10-05
茶葉に含まれるポリフェノールは太陽光を浴びるほど増えるのでしょうか?
y 様

このコーナーへのご質問、ありがとうございました。

茶葉のポリフェノールは、光合成産物であるグルコースを材料として合成されます。
ですから、光強度に従って、光飽和点はありますが光合成速度が高くなります(植物生理学、講談社、73頁、2022年など)ので、ポリフェノールの合成量は増えることになります。さらに、太陽光の強度が増すにつれて含まれている紫外線も増えますので、熱帯から暖帯で成育する常緑樹のチャノキは、紫外線の害を防ぐためにポリフェノール含量をさらに増やすと考えられています。茶葉に含まれるポリフェノールは、フラボノイドに分類されますカテキンとタンニンを主成分としています。ポリフェノールは、化学的には芳香環にヒドロキシ基が結語した化合物の総称ですので、カテキンやタンニンなどにつきましては、ご自分で調べてみて下さい。また、ポリフェノールの合成については、本コーナーの登録番号2230も参考にして下さい。

なお、チャの旨み成分であるテアニンは、強光のもとでは代謝されてしまいますので、玉露や抹茶の原料にする茶葉は、日光を遮るために被覆すると言われております。この処理で、旨み成分が増え、苦み・渋み成分であるポリフェノールは減少することになります。
山谷 知行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2023-10-06