一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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土壌のアルミニウム除去方法

質問者:   一般   chargearmsh80
登録番号5752   登録日:2023-10-11
最近調べたのですがアルミニウムは動植物への有害性が大きいと感じ
Al耐性がない植物が存在する以上、Alが存在する土壌からAlを除去できないかと言う質問です

・現在日本の土壌のアルミニウム濃度が増加していというデータはありますか?

・カドミウムの除去にカドミウムを蓄積する植物を用いいるという情報を目にしましたが、
 日本で土壌からAlを除去する場合どのような品種が利用が考えられますか?
 Symplocos spicata(ハイノキの一種)という木本植物がAlを葉に多く蓄積するそうですが
 日本でも育つのでしょうか?
chargearmsh80 様

このコーナーへのご質問、ありがとうございました。

Alは地殻中で酸素、ケイ素に続き3番目に多い元素であり(重量比で、約7.6%)、土壌中では中性付近で、多くがケイ酸Alの形態で無毒化されています。また畑地の場合は施肥由来のリン酸と結合し、リン酸Alの形態でもそんざいし、中性付近では可溶性のAlイオンはほとんど存在しません。しかし、pH 5以下の酸性条件では、さまざまのAlイオンが遊離して、特にAl3+は植物に対して強い毒性を示し、根の伸長阻害を引き起こします(エッセンシャル植物生理学、講談社、2022年、124ページ)。土壌中に多量に存在するAlは、Cdのように微量に存在する元素と異なり、植物によるバイオレメデーションは現実的ではなく、土壌の酸性化を抑制する方が効果的だと考えられます。

Symplocos spicataは、熱帯・亜熱帯に分布する常緑樹ですが、日本にも生息しています。これ以外の、身近な植物でAlを集積するのは、チャ、アジサイ、ソバ、トウモロコシなどがあげられます。Alを集積する植物は、一般に有機酸とキレートした形で無毒化していると考えられています。
山谷 知行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2023-10-19
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