一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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みかんの粒同士がくっついているのはなぜ?

質問者:   小学生   おわらいげんまい
登録番号5764   登録日:2023-10-20
みかんが大好きです。皮をむいて食べようとしたら、ふと「どうやってひと粒ひと粒がくっついているのだろう」と思いました。

くっついている理由として思いついたのは(1)薄皮に見えない毛が生えている(2)薄皮にデコボコがある、のふたつです。

インターネットで調べてみましたが正解がわかりませんでした。くっついている仕組みを教えてください。
おわらいげんまい様

Q&Aコーナーへようこそ。歓迎いたします。

あなたが食べたミカンは、多分ごくふつうの「温州ミカン(うんしゅうみかん)」だとおもいます。
でも、他のミカンの種類でも共通のことですので、ここではミカンとして話します。つぶつぶというのは食べる部分のことですね。この一粒一粒は、せんもんの言葉では「さじょう」といい、つぶつぶがたくさん入っている一つ一つのふくろは「じょうのう」と呼んでいます。じょうのうは、他の果実でいえば、種子が作られる「しぼう(子房)にあたります。ふつう食べるミカンは「たねなし」ですが、種子ができる時は、じょうのうがミカンの中心につながる三角状の角にささるようにしてつくられます。時々種子もできているミカンがありますので、こんど出会ったら、よく観察してみて下さい。
 さて、「さじょう」のことですが、これは子房(じょうのう)の皮(じょうのう膜といいます)の内側にできた毛のようなものが変形したものだと思ってください。植物は、くき、果実などのひょうめん(表皮)に、トライコーム(毛状体)という毛がみられます。一個の細胞の場合もあるし、何個かの細胞からできている場合もあります。こういうものが、じょうのうの内側のひょうめんにできているのです。一粒ずつ取り出してみると、うんと小型の長細いフウセンに短い糸がついているような形をしています。この糸のような部分は何個かの細胞からできており、じょうのう膜にくっついているわけです。ふうせんの部分も複数の細胞からできていますが、大部分は細胞の仕切りがなくなって一つの袋のようになります。そこにジュースがためられるのです。せまいじょうのうの内部にじょうのう膜から内側に向かって、ジュースがつまった多数のじょうのうが突出してきますので、おしあいへしあいになります。お互いがとくに接着しているわけではありません。
 さじょうの表面(表皮)は実際どのようになっているのかを調べた論文はみつかりませんでしたが、さじょうが出来上がってくる様子を走査電子顕微鏡で観察した論文にのっている写真から判断すると、さじょうの表面の表皮組織はとてもスムースにみえました。さじょう同士はとくに特別の表皮構造で接着しているわけではないでしょう。
勝見 允行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2023-10-24
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