一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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ピスタチオとかぼちゃの種のクロロフィルについて

質問者:   大学生   Chara
登録番号5782   登録日:2023-11-15
クロロフィルの合成には光が必要であることを学びました。
我々が食べるピスタチオの実の部分は、クロロフィルにより緑色をしているそうです。実は硬い殻の中にあり、あまり光が届かないように思えますが、なぜ緑色をしているのでしょうか。
かぼちゃの種も殻の中は緑色です。これもクロロフィルを含んでいるためでしょうか?
ピスタチオとかぼちゃの種がどのようにクロロフィル合成をしているのか教えてください。
Chara様

 こんにちは。日本植物生理学会の植物Q&Aコーナーに寄せられたあなたのご質問「ピスタチオとかぼちゃの種のクロロフィルについて」にお答えします。

 ピスタチオやカボチャの種子については分かりませんが、野菜の種子について同じようなQ&Aが登録番号3488にありますので、これを紹介することで回答に代えさせていただきます。
 一般に、種子形成の初期に子葉では葉緑体が形成され、種子形成後期には多くの場合、クロロフィルは分解してしまうのだそうです。例えば、エンドウの未熟種子であるグリーンピースは緑色ですが、完熟すれば茶色になります。種子形成初期には子房壁(後に莢となる部分)は薄いので光が透過でき、クロロフィル合成が可能なのです。ピスタチオやカボチャも成熟種子の段階では硬い殻に包まれていますが、種子形成初期には光は未熟種子に届いていてクロロフィル合成が起こるのでしょう。多くの場合、種子が成熟すると子葉のクロロフィルは分解してしまいますが、ピスタチオやカボチャでは分解されずに残るものと思われます。シロイヌナズナではクロロフィルの分解にかかわる遺伝子を破壊すると、クロロフィルが残った緑色の種子が作られるとのことです。ピスタチオやカボチャのように成熟種子でも緑色のものはこのような遺伝子が欠損するか、その働きが弱いのでしょう。
 種子だけでなく、果実でもアボガドやキウイフルーツのように果肉が緑色のものがありますが、これもクロロフィルによるもので、果実形成のいずれかの時期に光が当たっていたことでクロロフィルが合成されたものだということです(登録番号0832)。カボチャの果実は食用とする時期にはとても大きく、内部の種子まで光が届くかどうか疑問に思いますが、アボガドやキウイフルーツと同じように果実形成初期の小さい時期に当たっていた光が種子にも到達してクロロフィルが合成され、その後も分解されずに残るのかもしれません。
竹能 清俊(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2023-11-17
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