一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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枝垂れ柳の育ち方

質問者:   自営業   はぜ
登録番号5794   登録日:2023-11-24
枝垂れ柳について

京都市内で綺麗に育っている枝垂れ柳から取った苗木を、南丹市や大原など,少し標高が高く涼しいところで植栽しましたが、枝がガクガクカサカサで風になびく素麺のような綺麗な枝になりません。まるで雲龍柳かどんぐりの木の様な樹形になりました。なぜなんでしょうか?原因を知りたいです。
一番綺麗に育っている場所は、アスファルトの隙間などの街中です。
京都の柳を秋田県に持って行って植栽したいのが、みずみずしく綺麗に育てる方法はありませんか?
はぜ様

 こんにちは。日本植物生理学会の植物Q&Aコーナーに寄せられたあなたのご質問「枝垂れ柳の育ち方」にお答えします。

 枝垂れ柳が雲龍柳のようになったとのことですが、枝が枝垂れずに上向きに伸びたということなのだろうと思います。これは難問で、よく分かりませんが、シダレヤナギの枝垂れ性と立ち性の問題のようです。関連するQ&Aが本コーナーの登録番号2814, 3249で取り上げられていますので、これらを参考にして考えてみます。
 「綺麗に育っている枝垂れ柳」から枝を切取って挿木をされたのだろうと思いますので、遺伝的には親植物と同じですから形態も親植物と同じになるはずです。しかし、そうはならなかったとのことです。その原因として標高や気温など栽培場所の環境の違いを意識されているようですが、これらの環境要因は樹形に影響を及ぼすほどのものではないように思います。とすれば、挿木で発生を開始したばかりの若い植物は成熟した親植物とは異なる形態形成をしたのではないかと考えられます。幼若期と成熟期では葉の形が異なることがあるように(登録番号5773をご覧ください)、シダレヤナギは生育初期の枝は枝垂れず、その後に発生する細枝が枝垂れる性質を備えているのかもしれません。シダレヤナギの枝垂れ性はジベレリン投与で立ち性になるので(登録番号3249)、生育初期には内生ジベレリンが枝垂れを抑制していることも考えられます。このように推測してみましたが、これが間違っていなければ、個体として一定程度大きくなってから枝垂れる枝が発生するのではないかと予測できます。もう少し栽培を続けて様子を見てください。
竹能 清俊(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2023-12-04
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