一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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維管束の通導機能が無くなるメカニズムは?

質問者:   一般   fumi
登録番号5797   登録日:2023-11-28
落葉について知りたく、文献を読んだりしています。
貴コーナーの登録番号3185の回答に「これらの作業が終わったころ離層は完成し維管束の通導機能はなくなります。」とあります。
この通導機能がなくなるメカニズムはどのようなものなのでしょうか? また、「・・・ころ離層は完成し維管束の・・・」とあり、離層の完成と維管束の通導機能の喪失が関係があるようですが、離層の完成がどのようにして、維管束の通導機能を喪失させるのでしょうか?
ご教示よろしくお願いします。
fumi様

このコーナーへのご質問、ありがとうございました。
離層細胞分化メカニズムの研究を展開されています、筑波大学の岩井宏暁先生から、下記の回答を頂きました。

【岩井先生の回答】
みんなのひろば 質問コーナーのご利用ありがとうございます。落葉は、葉の基部にある離層と呼ばれる特殊な細胞の領域が、秋の紅葉の時期やエチレンなどの作用により、弱い構造へと変化することによって生じるとされています。この離層の領域が徐々に弱くなることとともに、維管束がカロースや粘着性の物質によって詰まることで、通導機能を失っていきます。維管束自体はつながった状態を維持しますが、その周りの離層組織が弱い構造となったことで分離することで、風などの力で物理的に裂開します。裂開が進むと、裂開部はワックス状の物質やコルク化した細胞でふさがれ、葉が落ちた後も乾燥や病原菌による感染がしにくくなります。
岩井 宏暁(筑波大学生命環境系)
JSPPサイエンスアドバイザー
山谷 知行
回答日:2023-12-05
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