質問者:
教員
まきこ
登録番号5837
登録日:2024-02-23
育苗ポットを古紙で作る実験をしています。みんなのひろば
クエン酸とNaが土壌と植物に与える影響
古紙をパルプ化する段階で、クエン酸と重曹を反応させるため、パルプ溶液にはクエン酸三ナトリウムが溶けている状態です。
そのまま脱水して育苗ポットをつくる場合、僅かでしょうがクエン酸三ナトリウムが含まれます。
苗が育った後は、古紙ポットごと植え付けるため、クエン酸三ナトリウムも一緒に土壌へ入り込みます。
他の方の質問で、
・Naイオンが植物へ悪影響がある。とありましたが、現在もこの通りでしょうか?
・クエン酸はAlと錯体となり効果があるとありましたが、クエン酸三ナトリウムでは効果ないのでしょうか?
ご回答をお願いいたします。
まきこ様
本コーナーへのご質問、ありがとうございました。古紙で育苗ポットを作るのは、いいアイディアですね。
さて、ご質問の1番目ですが、Naイオンの毒性は、本コーナー登録番号0704や登録番号4618にも書かれています通りで、現在でも変わりません。植物の種類によって、Naイオンに敏感なものから、逆に浜辺で成育するような植物までありますが、一般的には少ないNaイオンでも害があると思われますので、パルプ化された後、よく水で洗い、Naイオンを除くことをおすすめします。3.11の津波の跡地は、しばらくは塩害で植物を育てることはできませんでしたが、雨や積極的な水の供給でNaイオン等を除き、現在では栽培可能になっている土地が多くあるのはご存じの通りです。ポット完成後とか、ポットごと土壌に植え付ける際にも、十分に水で流すことをおすすめします。
第2の質問ですが、土壌溶液が酸性の場合(pH 5以下)、土壌中のAl3+とクエン酸が錯体を作り、Al3+の害を防ぐことが知られています。クエン酸三ナトリウムはイオン結合ですので、容易にAl3+との錯体に変換します。なお、土壌改良に効果があるのは、あくまでも酸性土壌の場合です。クエン酸そのものは、よほど高濃度でない限りは植物への害はありません。また、上記のように水でたくさん洗うことにより、クエン酸も溶脱すると思われます。
古紙での育苗ポット、ご成功をお祈り致します。
本コーナーへのご質問、ありがとうございました。古紙で育苗ポットを作るのは、いいアイディアですね。
さて、ご質問の1番目ですが、Naイオンの毒性は、本コーナー登録番号0704や登録番号4618にも書かれています通りで、現在でも変わりません。植物の種類によって、Naイオンに敏感なものから、逆に浜辺で成育するような植物までありますが、一般的には少ないNaイオンでも害があると思われますので、パルプ化された後、よく水で洗い、Naイオンを除くことをおすすめします。3.11の津波の跡地は、しばらくは塩害で植物を育てることはできませんでしたが、雨や積極的な水の供給でNaイオン等を除き、現在では栽培可能になっている土地が多くあるのはご存じの通りです。ポット完成後とか、ポットごと土壌に植え付ける際にも、十分に水で流すことをおすすめします。
第2の質問ですが、土壌溶液が酸性の場合(pH 5以下)、土壌中のAl3+とクエン酸が錯体を作り、Al3+の害を防ぐことが知られています。クエン酸三ナトリウムはイオン結合ですので、容易にAl3+との錯体に変換します。なお、土壌改良に効果があるのは、あくまでも酸性土壌の場合です。クエン酸そのものは、よほど高濃度でない限りは植物への害はありません。また、上記のように水でたくさん洗うことにより、クエン酸も溶脱すると思われます。
古紙での育苗ポット、ご成功をお祈り致します。
山谷 知行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2024-02-24