一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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ネギ成長点の部位について

質問者:   一般   Ryuji
登録番号5842   登録日:2024-02-26
ネギの成長点は茎盤にあると理解していたのですが、あるネットの記載に葉身の分岐部にあリ、土寄せは分岐部までとあったのですが、ネギの成長点はたくさんあるものですか?よろしくお願いします。
Ryuji様

 こんにちは。日本植物生理学会の植物Q&Aコーナーに寄せられたあなたのご質問「ネギ成長点の部位について」にお答えします。

 最近は、「成長点」の代わりに「茎頂分裂組織」という用語を使うことが多くなってきましたので、ここでも「成長点」を「茎頂分裂組織」と言い換えることにします。茎頂分裂組織は茎の先端でシュート(茎と葉)を作り出す分裂組織で、シュートの先端の頂芽と葉の腋にできる腋芽の両方にありますので、1つのシュートには頂芽1個+腋芽の数だけの数の茎頂分裂組織があります。ネギの場合は、茎が極端に短い茎盤になっていますが、その頂部が頂芽の茎頂分裂組織です。葉は茎が短いために密集していますが、それぞれの葉の基部の葉腋に腋芽ができて、それらの先端も茎頂分裂組織です。つまり、茎頂分裂組織はたくさんあります。
 茎頂分裂組織は「葉身の分岐部にある」とする記載があるとのことですが、「葉身の分岐部」はどこを指すのでしょうか? 葉の主要部分が葉身で、葉の基部は葉柄や葉鞘になっています。ネギの葉は葉身と葉鞘から成り、緑色の部分が葉身、白色の部分が葉鞘です。葉身は分岐しませんから、葉身と葉鞘の境界を分岐部と呼んでいるのでしょうか? ネギの葉鞘部分は光の当たらない土の中にあるために白いので、「土寄せは分岐部まで」とは土を被せるのは葉鞘部分だけと言っているように思えます。そうであるならば、葉身と葉鞘の境界付近を分岐部と呼んで、そこに茎頂分裂組織があると言っていることになります。しかし、そこは葉の途中の部分ですから茎頂分裂組織はありません。「葉身の分岐部」がこれとは別の部位を指すのならば、別の解釈が必要かもしれませんが、いずれにしても、ネギの茎頂分裂組織は茎盤と各葉鞘基部にあります。
竹能 清俊(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2024-03-06
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