一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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アサガオと光の関係について

質問者:   小学生   Minecraft
登録番号5857   登録日:2024-03-17
 僕は小学校1年生の時から夏休みの自由研究でアサガオについて研究しています。
 アサガオはムラサキという純粋な種類を使っており、5年生までの研究でアサガオは光にとても敏感で短日処理をすると開花時期が早まり小さなアサガオになることや、一晩中 アサガオの蕾に光を当てておくと翌朝は開花しない事が分かりました。
 また、翌朝 開花予定のアサガオ(ムラサキ)の蕾をいくつかをアルミはくで覆っておいて、蕾ごとに時刻を変えてアルミはくをとって光に当てると開花時刻をずらせる事も分かりました。
 ところが、一緒に育てているブラジルが原産のキダチアサガオ(コダチアサガオ)は、蕾に一晩中 光を当てていても翌朝に開花しました。また、キダチアサガオの蕾いくつかをアルミはくで覆って、時刻を変えてアルミはくをとってみても、翌朝には同じ時刻にはすべての花が開花しておりました。
 ムラサキもキダチも同じ昼顔科のアサガオだと思うのですが、何が違うのでしょうか?
よろしければ回答をお願いいたします。
Minecraft 様

 Q&Aコーナーにご質問いただきありがとうございます。小学校1年生の時からアサガオの実験を続けているとのこと、大変感銘を受けました。植物の概日時計(体内時計)を研究している京都大学の小山時隆先生と相談の上、回答いたします。

 アサガオの開花時間は明暗変化(この場合は、明るいところから暗くなることや暗い時間の長さ)の影響が大きく、一方、キダチアサガオの開花については暗くなることは必要なさそうですが、その開花時間は植物体内で動き続けている概日時計からの影響が大きいと考えられます。概日時計は明るくても暗くても動き続ける時計ですので、1日の決まった時間を告げることができますが、それが外部からの光刺激にどのように反応するかは、場合によって異なります。実験結果を詳しくみてみなければなりませんが、アサガオの開花時間については、暗くなってからの時間とこれらの二つの要素が複合しているかもしれません。キダチアサガオの場合は、時計の影響が強く、あまり光の影響を受けないのでしょう。

 植物の性質や反応を考える場合に近縁のものを比べるのはとても大切なことです。ヒルガオ科の中にはその代表種のヒルガオのように昼に開花するものがありますが、これは同じ昼夜の環境の変化に対してアサガオとは異なる反応を示した結果と考えられます。さらに、アサガオとキダチアサガオは同じサツマイモ属ですが、開花時間が似ていても、お互いに異なる反応で開花を引き起こしていると考えられます。また、キダチアサガオでは、同一株、同一生育場所の植物にもかかわらず、早朝、午後、夕方の1日3回決まった時間に開花する現象も報告されており、開花時間を決める多様な仕組みを持っているのかもしれません。

 このように、近縁でも共通しない性質が色々とあります。なぜ共通する性質とそうでない性質があるのか、これは大変興味深い問題で、今、盛んに研究が進められています。中学校に入っても、植物への興味を持ち続けてもらえるとうれしいです。
長谷 あきら(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2024-04-03
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