質問者:
小学生
kokomi
登録番号5875
登録日:2024-04-21
こんにちは。みんなのひろば
チューリップがカリフラワーみたい
kokomi様、
こんにちは。日本植物生理学会の植物Q&Aコーナーに寄せられたあなたのご質問「チューリップがカリフラワーみたい」にお答えします。
これはとても珍しいものです。珍しい花にあたって、とってもラッキーです!友だちに自慢できます。
普通のチューリップは花びらが6枚(正しくは、がく片に相当する外花被が3枚と、その内側に花弁に相当する内花被が3枚)あって、その中に6本の雄しべがあり、さらに真ん中に1本の雌しべがあります。このような花びら(外花被と内花被)、雄しべ、雌しべの並び順と数は遺伝子でしっかりと決められています。それに対して、この花は、一番外側の外花被3枚は普通の花と同じですが、その内側の内花被は小さめなものが2枚とよくわからないが多分内花被と思われるものが1枚あります。ここまでは、普通の花とほぼ同じです。ところが、その内側には(がんばってよくよく見ると)少なくとも10個の葯(雄しべの先端の花粉が入っている袋)が見えます。そして、さらにその内側には、雌しべは見あたらず、もしかしたら花被ではないかと思えるものがあります。これらは普通のチューリップの花とは違います。花びら、雄しべ、雌しべの並び順と数は遺伝子でしっかりと決められているはずのものですから、それが普通とは違うということは、遺伝子の働きが変わってしまったということです。花びら、雄しべ、雌しべの並び順と数(花の作り)を決める遺伝子の働きはよく研究されていて、その働きを説明するABCモデルというものがあります。本Q&Aコーナーの登録番号1910, 5541などを見てください。花の作りが変わる突然変異はいろいろな植物で知られています。八重咲の花などがその例で、たいていの花の作りの変化はABCモデルで説明ができます。ところが、あなたのチューリップの花の変化はABCモデルでは説明できないものです。新しい発見かもしれません。
この花はたぶん咲くと思います。大事にそだてて、観察をつづけてください。花が咲けば、写真ではよくわからなかった、雄しべの数や、雌しべが本当にないのかどうかもはっきりわかるでしょう。
花が咲いたあとの球根は大事にとっておくことをおすすめします。来年もまた同じ花がつくかもしれません。
<追記>
上記のように回答した後に、花が咲いたということで、新しい写真を送って頂きました。それを拝見しますと、蕾のときにはわからなかったことがあきらかになりましたので、次のことを追加します。
咲いた花では、蕾ではよくわからなかった花被があきらかになって、蕾のときはあきらかだった雄しべの葯が見えません。雄しべは大きくなった花被にうもれて見えなくなってしまったのかもしれません。これらのことから、この花は雄しべと花被の数がふえたものといえそうです。このような変化はABCモデルで説明できる変異とはまた別の変異ですが、よくある変異です。くわしいことはしっかり調べないとわかりませんが、遺伝子の変化でおきた珍しい花ではあります。
こんにちは。日本植物生理学会の植物Q&Aコーナーに寄せられたあなたのご質問「チューリップがカリフラワーみたい」にお答えします。
これはとても珍しいものです。珍しい花にあたって、とってもラッキーです!友だちに自慢できます。
普通のチューリップは花びらが6枚(正しくは、がく片に相当する外花被が3枚と、その内側に花弁に相当する内花被が3枚)あって、その中に6本の雄しべがあり、さらに真ん中に1本の雌しべがあります。このような花びら(外花被と内花被)、雄しべ、雌しべの並び順と数は遺伝子でしっかりと決められています。それに対して、この花は、一番外側の外花被3枚は普通の花と同じですが、その内側の内花被は小さめなものが2枚とよくわからないが多分内花被と思われるものが1枚あります。ここまでは、普通の花とほぼ同じです。ところが、その内側には(がんばってよくよく見ると)少なくとも10個の葯(雄しべの先端の花粉が入っている袋)が見えます。そして、さらにその内側には、雌しべは見あたらず、もしかしたら花被ではないかと思えるものがあります。これらは普通のチューリップの花とは違います。花びら、雄しべ、雌しべの並び順と数は遺伝子でしっかりと決められているはずのものですから、それが普通とは違うということは、遺伝子の働きが変わってしまったということです。花びら、雄しべ、雌しべの並び順と数(花の作り)を決める遺伝子の働きはよく研究されていて、その働きを説明するABCモデルというものがあります。本Q&Aコーナーの登録番号1910, 5541などを見てください。花の作りが変わる突然変異はいろいろな植物で知られています。八重咲の花などがその例で、たいていの花の作りの変化はABCモデルで説明ができます。ところが、あなたのチューリップの花の変化はABCモデルでは説明できないものです。新しい発見かもしれません。
この花はたぶん咲くと思います。大事にそだてて、観察をつづけてください。花が咲けば、写真ではよくわからなかった、雄しべの数や、雌しべが本当にないのかどうかもはっきりわかるでしょう。
花が咲いたあとの球根は大事にとっておくことをおすすめします。来年もまた同じ花がつくかもしれません。
<追記>
上記のように回答した後に、花が咲いたということで、新しい写真を送って頂きました。それを拝見しますと、蕾のときにはわからなかったことがあきらかになりましたので、次のことを追加します。
咲いた花では、蕾ではよくわからなかった花被があきらかになって、蕾のときはあきらかだった雄しべの葯が見えません。雄しべは大きくなった花被にうもれて見えなくなってしまったのかもしれません。これらのことから、この花は雄しべと花被の数がふえたものといえそうです。このような変化はABCモデルで説明できる変異とはまた別の変異ですが、よくある変異です。くわしいことはしっかり調べないとわかりませんが、遺伝子の変化でおきた珍しい花ではあります。
竹能 清俊(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2024-04-24