一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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タンポポの種子発芽について

質問者:   一般   団塊の老人
登録番号5895   登録日:2024-05-20
庭等に黄色いタンポポの花が咲き誇っています、これを草刈り機で刈払いした後放置していると数日たつと綿毛化していきます。
開花してから数日しか経っていない切断したこの花弁は成熟しているようには思えないのですが綿毛化しているこの綿毛か飛散した種は翌年発芽するのでしょうか。
もし発芽するという事なら何故でしょうか?人間で言えば栄養失調で未熟児見たいなものだと思い越冬出来ないと思うのですが何億年に渡る植物進化のDNAなんでしょうか・・ねえ?
団塊の老人様
 
 こんにちは。日本植物生理学会の植物Q&Aコーナーに寄せられたあなたのご質問「タンポポの種子発芽について」にお答えします。
 
 タンポポの仲間はどれも、頭花が閉じた後に花茎は一旦横向きに倒れ、冠毛(綿毛)を開いて痩果(タネ)を飛ばす頃に再び立ち上がります。切断された花茎が立ち上がることはできないでしょうから、「草刈り数日後に綿毛化する」とされているのは、横向きに倒れている花茎が草刈り機にかからずに刈残されたものが立ち上がったのではないでしょうか?そうであるならば、成熟した種子が出来る可能性は高いと思います。あるいは、花茎が切断されていても冠毛が総苞の中から一部が出ている状態はありうるので、これを「綿毛化する」とされているのでしょうか?そうであるならば、痩果はそれ以上生長することは難しいので、発芽能のある種子が出来ることはないだろうと思います。
 注目されている種子が発芽するかどうかは、ご自分で発芽試験をしてみることで答が得られるでしょう。この場合、他の種子が混入しないように室内で行うなど注意が必要です。セイヨウタンポポのような外来種タンポポの種子は散布後すぐに発芽しますが、カントウタンポポなどの在来種タンポポの種子は散布後すぐではなく、秋になってから発芽するものが多いようですので長期の観察が必要です。タンポポの仲間はどの種でも、種子は年内に発芽してロゼットで越冬しますから、秋までに発芽しなければ、その種子は発芽能が無かったと判断してよいでしょう。ただ、在来種は自家不和合性なので周囲に開花個体が少ないとしいなが多いようです。発芽しなかったものはしいななのか、貯蔵養分が少ないために発芽できなかったのかは判断が難しいです。
竹能 清俊(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2024-06-03