一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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植物の浄水効果について

質問者:   その他   高岡佑己子
登録番号0059   登録日:2004-05-07
初めまして。私は海外番組の日本語版を制作している者です。
番組内に植物を用いて行う下水処理が出てきまして、本当にこのような効果があるのかどうか確認したく、ご連絡させていただきました。

質問は3つになります。

①ホテイアオイ:有機物を吸収する
②オオフサモ:化学物質を吸収する
③ボタンウキクサ:死んだバクテリアのニオイを吸収する

この3点が、事実なのかどうかということを教えていただけないでしょうか。ネット等で調べると、3つの植物には浄水効果があることは分かったのですが、それぞれが主に何を吸収するのかまでは調べがつきませんでした。

お手数ですが、何卒よろしくお願い申し上げます。
高岡 佑己子さま

 日本植物生理学会のホームページをお訪ねいただき有り難うございました。ご質問は、いわゆる水草を用いてのファイトレメディエーションについてと考えられます。企業の研究所や、環境科学を専門とされている関係学部などで研究が進められつつあるようです。本学会関係でこの方面の専門家がすぐに思いつきませんでしたので、水草の生態や形態形成について研究をされている飯田聡子博士(神戸大学)からご回答をいただきました。ご参考になれば幸いです。

①ホテイアオイ:有機物を吸収する
水生植物群落による水中の窒素・リン除去効果は,生態学では数十年前から調べられていて,事実として認識されています.とくにホテイアオイの除去速度はほかの植物を抜きんでているというデータがでています.
 
②オオフサモ:化学物質を吸収する
この植物は最近実験材料として使われ始めたようで,農薬や金属など様々な化学物質の取り込みが調べられています.

③ボタンウキクサ:死んだバクテリアのニオイを吸収する
ニオイ=アンモニアかと思いますが,そのような研究でボタンウキクサを扱っ
た実験はありません.代わりにイボウキクサについて1報報告がありました.その論文要旨をみたところ,ニオイを吸収するとは書かれておらず,藻類algaeを培養した水槽に比べ,ウキクサ水槽の方が揮発量が少なかったとそうです.

水生植物を利用した水質浄化の研究は,ヨーロッパでかなりホットなトピックなようです。

 飯田 聡子(神戸大学)
広報委員長、神戸大学
三村 徹郎
回答日:2006-10-23