質問者:
その他
たらこ
登録番号5902
登録日:2024-05-25
こどもと自然の樹木などをよくみて、いろいろなものにみたてて遊ぶ(形態的に)という活動を公園でしていたところ、ふきのとうに、雌雄があることを知りました。ふきの種
綿毛の種は雌株から飛ぶようですが、
1)雄株、雌株になる種とかは、見分けができるのでしょうか?
2)実は、種に雌雄はそもそもないとかあるのでしょうか?
3)他にも、私達が気づいていないこといろいろあるのでは?
どうぞよろしくお願いいたします。
たらこ様
Q&Aコーナーへようこそ。歓迎いたします。
フキというと、一般の人はマーケットに出回る栽培品種のフキ(フキの薹(とう)を含めて)を思い浮かべるかもしれませんが、たらこ様の場合は、もちろん野生種のことだと思います。野生種は「ヤマブキ」とも呼ばれるようですが、亜種の「アキタブキ」はよく知られていますね。
野生種と栽培種との違いは、野生種は苦味がつよいなどということもありますが、植物学的に大きな違いは、栽培種(例えば、市場で出回っている「愛知早生フキ」など」)は倍数体ということでしょう。フキの基本染色体数(2n)は29/30ですが、栽培種は3倍体(3n=87)となっています。したがって、不稔です。
フキはご存じのように雌雄異株とされています。雄花と雌花は薹がひらいて花が顕になると、どちらか見分けがつきます。雄花の外見は黄白色の多数の小花(筒状花)で構成される頭状花で、一部不稔の雌花が混じります。雄花の蕾が黄色味を帯びているので、全体的に黄白色を呈します。花が終わると枯れます。花茎の長さは30cm程度に止まります。他方、雌花は白色の多数の小花(筒状花)が集まった頭状花です。中心部にいくつかの退化した不稔の雄蕊があり、頭部は白い球状を呈します。これは蜜腺となっていて、送粉者の昆虫を呼び寄せる働きをしています。中性花、あるいは密腺花と呼ばれています、花茎は開花後も伸長し、80cm程にもなります。種子はそう果で、これには冠毛が形成されて散布されます。
以上のように、フキの花は形態的には両性花ですが、それぞれにどちらかが退化していることになります。
雌雄を種子の段階で形態的に区別することはできません。種子の段階で形態的に性別がわかる植物は多分ないでしょう。一般に得られた種子を発芽させて性比を調べるとおおよそ1:1に分離しますが、フキの場合も同様であると報ぜられています。
フキの生理学的な研究は少なく、ほとんどが品種改良などに関係する仕事です。しかし、細胞学的な研究報告もあって、上記内容もそれを参考にしました。
ネットで「フキの細胞学的研究」という項目で検索していただくと、今津氏らの1961〜2年に園芸学雑誌に発表された5編の論文がみられます(日本語)。とても参考になるので読んでみてください。また、学術的記載ではありませんが、「フキの花を再確認」という項目で検索していただくと、写真を含めてそれなりに詳しい記述があります。雄花と雌花の特徴を表でまとめてありますので、参考にしやすいかもしれません。
Q&Aコーナーへようこそ。歓迎いたします。
フキというと、一般の人はマーケットに出回る栽培品種のフキ(フキの薹(とう)を含めて)を思い浮かべるかもしれませんが、たらこ様の場合は、もちろん野生種のことだと思います。野生種は「ヤマブキ」とも呼ばれるようですが、亜種の「アキタブキ」はよく知られていますね。
野生種と栽培種との違いは、野生種は苦味がつよいなどということもありますが、植物学的に大きな違いは、栽培種(例えば、市場で出回っている「愛知早生フキ」など」)は倍数体ということでしょう。フキの基本染色体数(2n)は29/30ですが、栽培種は3倍体(3n=87)となっています。したがって、不稔です。
フキはご存じのように雌雄異株とされています。雄花と雌花は薹がひらいて花が顕になると、どちらか見分けがつきます。雄花の外見は黄白色の多数の小花(筒状花)で構成される頭状花で、一部不稔の雌花が混じります。雄花の蕾が黄色味を帯びているので、全体的に黄白色を呈します。花が終わると枯れます。花茎の長さは30cm程度に止まります。他方、雌花は白色の多数の小花(筒状花)が集まった頭状花です。中心部にいくつかの退化した不稔の雄蕊があり、頭部は白い球状を呈します。これは蜜腺となっていて、送粉者の昆虫を呼び寄せる働きをしています。中性花、あるいは密腺花と呼ばれています、花茎は開花後も伸長し、80cm程にもなります。種子はそう果で、これには冠毛が形成されて散布されます。
以上のように、フキの花は形態的には両性花ですが、それぞれにどちらかが退化していることになります。
雌雄を種子の段階で形態的に区別することはできません。種子の段階で形態的に性別がわかる植物は多分ないでしょう。一般に得られた種子を発芽させて性比を調べるとおおよそ1:1に分離しますが、フキの場合も同様であると報ぜられています。
フキの生理学的な研究は少なく、ほとんどが品種改良などに関係する仕事です。しかし、細胞学的な研究報告もあって、上記内容もそれを参考にしました。
ネットで「フキの細胞学的研究」という項目で検索していただくと、今津氏らの1961〜2年に園芸学雑誌に発表された5編の論文がみられます(日本語)。とても参考になるので読んでみてください。また、学術的記載ではありませんが、「フキの花を再確認」という項目で検索していただくと、写真を含めてそれなりに詳しい記述があります。雄花と雌花の特徴を表でまとめてありますので、参考にしやすいかもしれません。
勝見 允行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2024-05-27