質問者:
一般
青空
登録番号5911
登録日:2024-05-31
スズムシソウを同じ場所で観察できることは殆んどありません。みんなのひろば
スズムシソウはどんな生活をしているのでしょうか?
どんな生活をしているのでしょうか?
青空 様
日本植物生理学会、みんなのひろば、植物Q&Aのコーナーへご質問いただきありがとうございました。ご質問への回答は、ラン科を含む着生植物の系統や進化を詳細にご研究されている国立科学博物館 植物研究部 堤千絵博士にお願いいたしました。
【堤先生の回答】
スズムシソウ(ラン科クモキリソウ属)の生活についてお答えします。
スズムシソウは、1-2cmの楕円球形の茎が地表付近にあります。春にその茎の側方から芽が出て2枚の葉と花茎がのび、5―6月ごろ開花します。夏のあいだに2枚の葉の基部がふくれ新たな楕円球形の茎が成長します。秋に落葉し再び茎だけになりますが、その年にできた新しい茎が主体で、1年前の古い茎は小さくなりいずれなくなります。そうして新しい茎が古い茎の隣にできていくため、株自体はほんの数センチずつ移動することになります。
スズムシソウの生活でもう1つ重要なのは共生菌です。ツラスネラという腐生菌と共生しますが、スズムシソウは菌の選り好みが極めて強く、ツラスネラのなかでも特定の菌としか共生しません。発芽時にもその菌が必要で、その菌が生育しているかどうかがスズムシソウが生育できるかを決める1つの要因となります。菌が旺盛な場所ではスズムシソウもしばらくその場で生育していると考えられますが、菌がいなくなってしまえばスズムシソウもいなくなってしまうと考えられます。
私が知る自生地はやや明るい森や林の中で、全く同一地点かまでは観察していませんが、そのエリアで数年間は見られるように思います。
===
以上、ご参考になりましたでしょうか。古い茎はいずれなくなり移動するよう見えることや共生菌との共生関係など非常に興味深いですね。
日本植物生理学会、みんなのひろば、植物Q&Aのコーナーへご質問いただきありがとうございました。ご質問への回答は、ラン科を含む着生植物の系統や進化を詳細にご研究されている国立科学博物館 植物研究部 堤千絵博士にお願いいたしました。
【堤先生の回答】
スズムシソウ(ラン科クモキリソウ属)の生活についてお答えします。
スズムシソウは、1-2cmの楕円球形の茎が地表付近にあります。春にその茎の側方から芽が出て2枚の葉と花茎がのび、5―6月ごろ開花します。夏のあいだに2枚の葉の基部がふくれ新たな楕円球形の茎が成長します。秋に落葉し再び茎だけになりますが、その年にできた新しい茎が主体で、1年前の古い茎は小さくなりいずれなくなります。そうして新しい茎が古い茎の隣にできていくため、株自体はほんの数センチずつ移動することになります。
スズムシソウの生活でもう1つ重要なのは共生菌です。ツラスネラという腐生菌と共生しますが、スズムシソウは菌の選り好みが極めて強く、ツラスネラのなかでも特定の菌としか共生しません。発芽時にもその菌が必要で、その菌が生育しているかどうかがスズムシソウが生育できるかを決める1つの要因となります。菌が旺盛な場所ではスズムシソウもしばらくその場で生育していると考えられますが、菌がいなくなってしまえばスズムシソウもいなくなってしまうと考えられます。
私が知る自生地はやや明るい森や林の中で、全く同一地点かまでは観察していませんが、そのエリアで数年間は見られるように思います。
===
以上、ご参考になりましたでしょうか。古い茎はいずれなくなり移動するよう見えることや共生菌との共生関係など非常に興味深いですね。
堤 千絵(国立科学博物館 植物研究部)
JSPP広報委員長
藤田 知道
回答日:2024-08-01
藤田 知道
回答日:2024-08-01