質問者:
小学生
トミー
登録番号5914
登録日:2024-06-03
いつも参考にさせて頂いています。アオギリの粘液
僕は植物が好きで、色々な葉っぱを取ってきては、葉っぱの表面をデジタルマイクロスコープで観察するのが好きです。
今回は、アオギリの葉の事で気になっていることがあって質問しました。
取ってきたアオギリの葉っぱの茎を、水につけていると、糸を引く透明な粘液が出てきました。
どういう成分で、何の為なのか詳しく知りたいです。よろしくお願いします。
僕が住む広島には、被爆樹木のアオギリがあります。
焦土から再び芽吹いたと聞いて、この透明な粘液が、生命力の強さにも繋がるのかについても知りたくて、先生方のご意見を参考にしたいです。
よろしくお願いします!
トミー君
Q&Aコーナーへようこそ。歓迎いたします。トミー君は植物が好きだとのこと。うれしいですね。しかも、自分でいろいろと観察をされているようで、すばらしいことです。アオギリといえば、トミー君も書いている様に、広島の被曝アオギリは広く知られています。
ご質問のアオギリの葉から出る粘液によく気がつきましたね。ちゃんと観察している証拠です。トミー君は「葉の茎」と書いていますが、正しくは「葉柄:ヨイウヘイ」といいます。葉のシートになっている部分は「葉身:ヨウシン」といいます。葉柄が長い葉や、非常に短い葉がありますが、植物の種類によってさまざまです。いろいろ調べてみてください。
さて、この粘液の正体はなにかというと、「非常に複雑な物質」と言っておきましょう。粘液を出す植物はたくさんあります。アオギリでは粘液は樹皮にたくさん存在し、花(花柄:カヘイ)を切ってもでてきます。アオギリはアオイ科のアオギリ属の植物(新しい分類学体系に基づく)ですので、同じ科のトロロアオイ、ビロードアオイ、オクラ、ノリアサなどの植物がもっている粘液と基本的には同じ仲間です。一般的に言ってしまえば、植物の粘性物質は化学的には多くの糖(いろいろな種類の糖があります)のつながった分子(多糖)とタンパク質とからできています。ある研究によるとアオギリの粘液はD-ガラクツロン酸、D-ガラクトース、L-アラビノース、L-ラムノースという糖がふくまれており、それにL-グルタミン酸、L-アラニン、L-イソロイシン、L-バリン、L-リシン、L-チロシン、L-グリシンというアミノ酸を含むタンパク質が結合しているということです。
植物の粘液は食用、薬用、糊などに利用されてきました。アオギリの粘液(樹皮から抽出する)は和紙を作るときの糊料として広く使われていました。
植物は何のために粘液を作るのかということですが、アオギリのように体の中で作られる粘液の実際の役割ははっきりわかりません。植物細胞に特有の細胞壁の構成要素となっているのが普通です。他方、植物が体外に分泌する粘液もいろいろあり、それぞれの働きはわかっています。これについては本コーナーの登録番号3831を読んでください。
これからも植物の観察をつづけて、不思議なことがあったら、また質問を送ってください。
Q&Aコーナーへようこそ。歓迎いたします。トミー君は植物が好きだとのこと。うれしいですね。しかも、自分でいろいろと観察をされているようで、すばらしいことです。アオギリといえば、トミー君も書いている様に、広島の被曝アオギリは広く知られています。
ご質問のアオギリの葉から出る粘液によく気がつきましたね。ちゃんと観察している証拠です。トミー君は「葉の茎」と書いていますが、正しくは「葉柄:ヨイウヘイ」といいます。葉のシートになっている部分は「葉身:ヨウシン」といいます。葉柄が長い葉や、非常に短い葉がありますが、植物の種類によってさまざまです。いろいろ調べてみてください。
さて、この粘液の正体はなにかというと、「非常に複雑な物質」と言っておきましょう。粘液を出す植物はたくさんあります。アオギリでは粘液は樹皮にたくさん存在し、花(花柄:カヘイ)を切ってもでてきます。アオギリはアオイ科のアオギリ属の植物(新しい分類学体系に基づく)ですので、同じ科のトロロアオイ、ビロードアオイ、オクラ、ノリアサなどの植物がもっている粘液と基本的には同じ仲間です。一般的に言ってしまえば、植物の粘性物質は化学的には多くの糖(いろいろな種類の糖があります)のつながった分子(多糖)とタンパク質とからできています。ある研究によるとアオギリの粘液はD-ガラクツロン酸、D-ガラクトース、L-アラビノース、L-ラムノースという糖がふくまれており、それにL-グルタミン酸、L-アラニン、L-イソロイシン、L-バリン、L-リシン、L-チロシン、L-グリシンというアミノ酸を含むタンパク質が結合しているということです。
植物の粘液は食用、薬用、糊などに利用されてきました。アオギリの粘液(樹皮から抽出する)は和紙を作るときの糊料として広く使われていました。
植物は何のために粘液を作るのかということですが、アオギリのように体の中で作られる粘液の実際の役割ははっきりわかりません。植物細胞に特有の細胞壁の構成要素となっているのが普通です。他方、植物が体外に分泌する粘液もいろいろあり、それぞれの働きはわかっています。これについては本コーナーの登録番号3831を読んでください。
これからも植物の観察をつづけて、不思議なことがあったら、また質問を送ってください。
勝見 允行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2024-06-14