一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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植物について

質問者:   小学生   笹谷 優花
登録番号0592   登録日:2006-04-19
なぜ暖かくなると植物の葉が出てきたり、虫が出てきたりするのか 教えて下さい。
笹谷 優花さん

おそくなりましたが、植物についての質問にお答えします。

「回答」
 たいへん大きな質問です。 植物にも色々な種類がありますので、この場合は冬に葉が落ちてはだかになり、春になって暖かくなると新しい葉がでてくる木(落葉樹といいます)のことについてお答えしましょう。虫のことはせんもんではないので、あまりお答えすることはできません。
 植物は動物とちがって、死ぬまで成長をつづけます。くきのせんたんや、葉のつけねなどでは新しいくきや葉が作られます。植物の成長は気温に大きく支配されていて、気温が低くなると成長はおそくなり、冬のようにとても寒いと、一時的に成長は止まります。葉は春から夏にかけて大きくなり、大陽のエネルギーを使ってデンプンなどのようぶんをつくり、自分の成長のためにすぐこれを使ったり、身体の中にたくわえたりします。また、葉はいろいろな老廃物(ろうはいぶつ)をためこんだりします。秋になり、だんだん気温が低くなると、葉もそのやくわりを終え、やがて、身体からはなれて、落ちていきます。つまり、落葉ですね。しかし、一方で、すでに新しい葉の基(もと)ができはじめていて、古い葉にとって変わるじゅんびが始まっています。しかし、冬に向って気温が低くなりますから、葉の成長はおきず、一時的に止まって状態で冬を過ごすことになります。このようなじょうたいを休眠(きゅうみん)しているといいます。春になって暖かになると、いよいよ眠りからさめて、成長を再開するのです。
 植物がどのようにして気温が高くなったことを知るのかというのは、むつかしい問題ですが、温度を感じるしくみがあるようです。 また、温度のほかに一日のひるの長さも大切です。秋から冬にかけて、ひるの長さがだんだん短くなっていきますが、冬から春にかけてははんたいに、だんだんひるの時間が長くなっていきます。植物はこの夜ひるの長さのへんかをかんじるしくみももっていて、成長を止めたり、始めたりするてがかりとしています。
 昆虫は冬になると死んでしまうものがおおいですね。なかには、いろいろなところで寒さをしのいで冬眠し、暖かになるとふたたび外に出てくる虫もあります。しかし、多くは、卵や幼虫、さなぎなどのじょうたいで、土の中や、落ち葉の中、木の皮の下などで冬をすごします。昆虫にも温度や夜昼の長さの変化を感じる仕組みがあります。私は昆虫のことはあまり知りませんので、昆虫採集などをして、虫のことを良く知っている人に聞いてみて下さい。
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2006-04-26