質問者:
その他
ヒロ
登録番号0593
登録日:2006-04-19
植物体の酵素活性(GSとNRなど)などを行おうと今考えているのですが、invivoとinvitroの両者の方法を見かけます。みんなのひろば
酵素活性測定について
私は培地の無機栄養の組成を変えて培地の違いにより、活性がどう変化するかを調べたいと思っておりますが、この実験の場合はどちらの方がより適しているのでしょうか?
invivoでは植物体切片を反応液に加えて、減圧の後反応させて発色。
一方invitroでは植物磨砕抽出液に反応液を加えた後に反応させて発色。
という文献が多く、私なりに考えたところ、同じ植物であったら酵素自体は同じと考え、今回の場合活性の違いを見るなら生体内の差なのでin vivoが良いのかとも思いますが、そもそもどの植物でも酵素は同一なのではないかとも考えられて、わかりません。
どちらの実験方法にもそれぞれ特徴や目的によって使い分けるのかなと思いますが、詳しい資料が見つかりませんでした。どうか教えてください。
ヒロ さん
植物がもっている酵素活性をin vivo、 in vitroのどちらで測定するべきか、実験の目的によって、また、どの酵素を対象とするかによっても異なります。また、in vivo測定ができない、または、困難な酵素もたくさんあります。ご質問の中にあった、例えば、無機栄養環境がNR(硝酸塩レダクターゼ)に及ぼす影響について考えてみましょう。
無機養分培地の窒素源のアンモニウム塩を硝酸塩にしたとき、NRの合成が誘導されるかどうかを見るのが研究目的の場合、NR活性の変化を経時的にin vitro測定するのが最も合理的でしょう。この場合、in vivo測定(根に真空注入法で硝酸塩を強制的に細胞内にとりこませ、硝酸塩の減少、または、亜硝酸塩の増加を測定)は、実際に根の細胞でNRが酵素反応を進行させているかどうかを検定する意味はありますが、正確なNRの活性測定は困難です。それは基質である硝酸塩の減少を測定する方法の場合、短時間での初速を測定する方法は(試料の個体差もあって)実験的に精度が低いためです。一方、NRの反応産物である亜硝酸塩を測定する方法でも、細胞内で亜硝酸塩が亜硝酸塩レダクターゼによって速やかに還元されてアンモニアになるため、正確なNR活性の値を求めることは困難です。
現在、植物の多くの酵素についてin vitroで再現性よく、正確に活性を測定する方法が確立されていますので、既知の酵素についてはそれらの信頼できるin vitroの方法を用いて測定すれば正確な活性を知ることができます。in vivo の測定は、上に述べたような不正確さがあることを充分に認識した上で、実際に細胞内でその反応が生じているかを確認するため、または解析したりするのに限るべきでしょう。しかし、植物にはまだ多くの未知の反応がありそれぞれに多くの酵素が関与し、遺伝子の数から予想される酵素のまだほんの一部が解明されたにすぎません。多彩な反応が進行している植物で未知の反応経路を解明するとき、最初はin vivoで予想される(多くは放射能などでラベルした)基質を与え、それがどのように変化するかの解析から反応経路を推定し、それぞれの反応に関与する酵素のin vitroでの活性測定法を確立し、これを用いて酵素の性質を解明する順序をとります。
植物がもっている酵素活性をin vivo、 in vitroのどちらで測定するべきか、実験の目的によって、また、どの酵素を対象とするかによっても異なります。また、in vivo測定ができない、または、困難な酵素もたくさんあります。ご質問の中にあった、例えば、無機栄養環境がNR(硝酸塩レダクターゼ)に及ぼす影響について考えてみましょう。
無機養分培地の窒素源のアンモニウム塩を硝酸塩にしたとき、NRの合成が誘導されるかどうかを見るのが研究目的の場合、NR活性の変化を経時的にin vitro測定するのが最も合理的でしょう。この場合、in vivo測定(根に真空注入法で硝酸塩を強制的に細胞内にとりこませ、硝酸塩の減少、または、亜硝酸塩の増加を測定)は、実際に根の細胞でNRが酵素反応を進行させているかどうかを検定する意味はありますが、正確なNRの活性測定は困難です。それは基質である硝酸塩の減少を測定する方法の場合、短時間での初速を測定する方法は(試料の個体差もあって)実験的に精度が低いためです。一方、NRの反応産物である亜硝酸塩を測定する方法でも、細胞内で亜硝酸塩が亜硝酸塩レダクターゼによって速やかに還元されてアンモニアになるため、正確なNR活性の値を求めることは困難です。
現在、植物の多くの酵素についてin vitroで再現性よく、正確に活性を測定する方法が確立されていますので、既知の酵素についてはそれらの信頼できるin vitroの方法を用いて測定すれば正確な活性を知ることができます。in vivo の測定は、上に述べたような不正確さがあることを充分に認識した上で、実際に細胞内でその反応が生じているかを確認するため、または解析したりするのに限るべきでしょう。しかし、植物にはまだ多くの未知の反応がありそれぞれに多くの酵素が関与し、遺伝子の数から予想される酵素のまだほんの一部が解明されたにすぎません。多彩な反応が進行している植物で未知の反応経路を解明するとき、最初はin vivoで予想される(多くは放射能などでラベルした)基質を与え、それがどのように変化するかの解析から反応経路を推定し、それぞれの反応に関与する酵素のin vitroでの活性測定法を確立し、これを用いて酵素の性質を解明する順序をとります。
JSPPサイエンスアドバイザ-
浅田 浩二
回答日:2006-04-20
浅田 浩二
回答日:2006-04-20