質問者:
小学生
シュウキ
登録番号5957
登録日:2024-07-15
真っ白のヒラドツツジにピンク色が混ざったり、真っ白のペチュニアに紫色が混ざったりする現象に興味を持っているのですが、そもそも白いヒラドツツジや白いペチュニアはどのようにして作られたのでしょうか?動く遺伝子であるトランスポゾンによって偶然色が抜けたのだと思ったのですが、それが白い花の始まりだとすると、簡単に色が戻ってしまって安定した株にならない気がするので、質問させていただきました。参考になる情報などを教えていただけると嬉しいです。
みんなのひろば
白い花がどのように作られたのか、について
シュウキ様
こんにちは。日本植物生理学会の植物Q&Aコーナーに寄せられたあなたのご質問「白い花がどのように作られたのか、について」にお答えします。
トランスポゾンによって偶然色が抜けたものだけが白い花の始まりというわけではありません。白い花には、もともと色素が無いために白いものと、色素の合成にかかわる遺伝子が働かなくなって白くなったものがあり、遺伝子が働かなくなって白くなったものには、色素の合成にかかわる遺伝子そのものが突然変異を起こして働かなくなったものと、遺伝子にトランスポゾンが取り込まれたことで働かなくなったものがあります。もともと色素が無いものと、色素の合成にかかわる遺伝子が突然変異を起こしたものの性質は安定して遺伝しますから、安定した白い株になります。これらに対して、遺伝子にトランスポゾンが取り込まれたものだけが、そのトランスポゾンが抜け出すことで遺伝子の働きが元に戻りますから、簡単に色が戻ってしまって安定した株にならないということになります。
白いヒラドツツジや白いペチュニアはどのようにして作られたのかという疑問ですが、意図して作られたわけではありません。色素の合成にかかわる遺伝子の突然変異も、遺伝子へのトランスポゾンの取り込みも偶然に起こったものです。意図して作るとすれば、DNAを傷つける放射線の照射や薬剤の処理で突然変異を起こさせるができます。ただし、この方法はねらった特定の遺伝子に変異を引き起こすことは出来ないので、たまたまどれかの遺伝子が傷つけば、何らかの変異が起こるかもしれないというものです。たくさんの実験をして、根気よく目的にかなった変異植物が出来るのを待つことになります。運が良ければ白い花の植物ができることもあるということです。しかし、最近ではゲノム編集という新しい方法ができ、この方法を使えば特定の遺伝子を働かないようにすることができます。実際、赤紫色のアサガオの花を思惑通りに白く変化させる実験が成功しています。
こんにちは。日本植物生理学会の植物Q&Aコーナーに寄せられたあなたのご質問「白い花がどのように作られたのか、について」にお答えします。
トランスポゾンによって偶然色が抜けたものだけが白い花の始まりというわけではありません。白い花には、もともと色素が無いために白いものと、色素の合成にかかわる遺伝子が働かなくなって白くなったものがあり、遺伝子が働かなくなって白くなったものには、色素の合成にかかわる遺伝子そのものが突然変異を起こして働かなくなったものと、遺伝子にトランスポゾンが取り込まれたことで働かなくなったものがあります。もともと色素が無いものと、色素の合成にかかわる遺伝子が突然変異を起こしたものの性質は安定して遺伝しますから、安定した白い株になります。これらに対して、遺伝子にトランスポゾンが取り込まれたものだけが、そのトランスポゾンが抜け出すことで遺伝子の働きが元に戻りますから、簡単に色が戻ってしまって安定した株にならないということになります。
白いヒラドツツジや白いペチュニアはどのようにして作られたのかという疑問ですが、意図して作られたわけではありません。色素の合成にかかわる遺伝子の突然変異も、遺伝子へのトランスポゾンの取り込みも偶然に起こったものです。意図して作るとすれば、DNAを傷つける放射線の照射や薬剤の処理で突然変異を起こさせるができます。ただし、この方法はねらった特定の遺伝子に変異を引き起こすことは出来ないので、たまたまどれかの遺伝子が傷つけば、何らかの変異が起こるかもしれないというものです。たくさんの実験をして、根気よく目的にかなった変異植物が出来るのを待つことになります。運が良ければ白い花の植物ができることもあるということです。しかし、最近ではゲノム編集という新しい方法ができ、この方法を使えば特定の遺伝子を働かないようにすることができます。実際、赤紫色のアサガオの花を思惑通りに白く変化させる実験が成功しています。
竹能 清俊(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2024-07-27