一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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ホトケノザの蜜の成分とその割合について

質問者:   高校生   エカチェリーナ3世
登録番号5963   登録日:2024-07-23
ホトケノザの蜜を吸うととても甘く、どのような成分が含まれているのか気になり、インターネットで調べると、イリドイド配糖体やグルコース、スクロースなどが含まれていると書かれていました。
しかし、ホトケノザの蜜の成分はこれだけではないと思います。ホトケノザの蜜について興味があるので、もっと詳しく知りたいです。
もっと詳細な成分とその割合について教えていただけないでしょうか。
エカチェリーナ3世様

 こんにちは。日本植物生理学会の植物Q&Aコーナーに寄せられたあなたのご質問「ホトケノザの蜜の成分とその割合について」にお答えします。

 花の蜜の成分はポリネーターとの関係で調べられた例が多数ありますが、ホトケノザの蜜についての分析結果の報告は見つかりませんでした。
 文献的には蜜の甘み成分である糖はほとんどの植物種でスクロース、グルコース、フルクトースの3種類です。稀な例としては、キシロースや糖アルコールであるキシリトールも含む種があるとのことです。主要3成分のスクロース、グルコース、フルクトースの比率は種ごとに異なります。ホトケノザでもこれら3種類の糖が主成分と思われます。その比率については分かりませんが、ホトケノザが含まれるシソ科植物の花蜜はスクロースの比率が高いそうです(本Q&Aコーナーの登録番号4396をご覧ください)。
 糖以外の成分としてはアミノ酸、有機酸、無機イオン、配糖体などがあります。配糖体はグルコースなどが結合した化合物ですが、甘み成分ではありません。ホトケノザのイリドイド配糖体は有毒だそうです。
 花の蜜は受粉を助けるポリネーターへの報酬であると理解されています。ホトケノザは閉鎖花もつけますが、閉鎖花には蜜は無いのかどうかが興味深いです。
竹能 清俊(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2024-07-31