質問者:
自営業
上島
登録番号5964
登録日:2024-07-24
ワルナスビは全草にジャガイモなどと同じソラニンという毒を持つというのを知りました。毒を持つ矛盾性
根や茎や葉に毒を持つことは動物に食べられないためということで納得がいきますが、果実にまで毒を持たせてしまうと種子を遠くに運んでもらいづらくなるので、かえってデメリットになるのではないでしょうか。
それでも果実にまで毒を持つのはなぜでしょうか?
上島 様
日本植物生理学会、みんなのひろば、植物Q&Aのコーナーへご質問いただきありがとうございました。ご質問への回答は、和漢薬用植物などに注目しアルカロイドなど薬用天然化合物の代謝や改良のご研究をリードされている富山大学・和漢医薬学総合研究所 庄司 翼先生にお願いいたしました。
【庄司先生の回答】
ワルナスビ(学名:Solanum carolinense)はナス科ナス属の多年草で北米南東部(カロライナ周辺:学名に反映されている)が原産です。茎や葉に鋭く硬い棘が持つばかりでなく、いずれの組織にもソラニンなど毒性アルカロイドを含みます。種子のみならず栄養繁殖もする繁殖力の強い植物で、旧大陸(ヨーロッパ、アジア)、オセアニア、日本などにもその分布は広がります。ちなみに、日本では昭和初期に牧野富太郎によって御料牧場(千葉県成田市)で発見、命名され、以降に全国に広がっています。
ワルナスビには成熟すると黄色になるトマトによく似た果実にも毒性アルカロイドが含まれますが、鳥類(キジや七面鳥)や一部の哺乳類(スカンクや小さなネズミ)など野生動物がある程度食べるそうです(北米での話、日本ではおそらく不明)。種子は消化されることなく野生動物によって広がることになります。これらの動物はヒトなど他の動物よりも毒性に対して耐性があります(機序は不明)。また、ウシよりもヒツジが耐性であることやウマやヤギでは毒性が現れにくいことなども分かっています。動物も種類によってはある程度の耐性を持っているようです。厳しい自然環境において食糧が限られる場合、多少の毒性があっても食用とする動物も存在するということでしょう(利益と不利益のバランス)。緑色の未成熟果実には成熟果実よりも高い濃度で毒性アルカロイドが含まれます。黄色の発色が合図となり成熟した種子を含む成熟果実のみが動物に食用されるようになっています。
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以上、ご参考になりましたでしょうか。本コーナーでは植物のふしぎに関する質問を受け付けております。また不思議に思われたことがありましたらQ&Aコーナーをお訪ねください。
日本植物生理学会、みんなのひろば、植物Q&Aのコーナーへご質問いただきありがとうございました。ご質問への回答は、和漢薬用植物などに注目しアルカロイドなど薬用天然化合物の代謝や改良のご研究をリードされている富山大学・和漢医薬学総合研究所 庄司 翼先生にお願いいたしました。
【庄司先生の回答】
ワルナスビ(学名:Solanum carolinense)はナス科ナス属の多年草で北米南東部(カロライナ周辺:学名に反映されている)が原産です。茎や葉に鋭く硬い棘が持つばかりでなく、いずれの組織にもソラニンなど毒性アルカロイドを含みます。種子のみならず栄養繁殖もする繁殖力の強い植物で、旧大陸(ヨーロッパ、アジア)、オセアニア、日本などにもその分布は広がります。ちなみに、日本では昭和初期に牧野富太郎によって御料牧場(千葉県成田市)で発見、命名され、以降に全国に広がっています。
ワルナスビには成熟すると黄色になるトマトによく似た果実にも毒性アルカロイドが含まれますが、鳥類(キジや七面鳥)や一部の哺乳類(スカンクや小さなネズミ)など野生動物がある程度食べるそうです(北米での話、日本ではおそらく不明)。種子は消化されることなく野生動物によって広がることになります。これらの動物はヒトなど他の動物よりも毒性に対して耐性があります(機序は不明)。また、ウシよりもヒツジが耐性であることやウマやヤギでは毒性が現れにくいことなども分かっています。動物も種類によってはある程度の耐性を持っているようです。厳しい自然環境において食糧が限られる場合、多少の毒性があっても食用とする動物も存在するということでしょう(利益と不利益のバランス)。緑色の未成熟果実には成熟果実よりも高い濃度で毒性アルカロイドが含まれます。黄色の発色が合図となり成熟した種子を含む成熟果実のみが動物に食用されるようになっています。
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以上、ご参考になりましたでしょうか。本コーナーでは植物のふしぎに関する質問を受け付けております。また不思議に思われたことがありましたらQ&Aコーナーをお訪ねください。
庄司 翼(富山大学・和漢医薬学総合研究所)
JSPP広報委員長
藤田 知道
回答日:2024-08-07
藤田 知道
回答日:2024-08-07