一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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キュウリの奇形果

質問者:   会社員   天魚
登録番号5972   登録日:2024-07-27
家庭菜園のキュウリに奇形の果実がなりました
直径3㎝くらいの球状で先が3つくらいに分かれています
ちゃんと種ができています
同時に2つなりました
菜園には2株植えていますが同じ株になったのかはわかりません
類似の奇形はネットでもいくつか見ることができました
自宅でも過去にも見たことがある気がします

形状について
果実の先が3つに分かれているのは子房室の数かなと思い自分的には納得なのですが
残って果実にへばりついた花弁が果実の先端でなく、ヘタの方についている(子房上位)ように見えたのがどうしても解せません

どういう現象(奇形)なのでしょうか?

天魚様

Q&Aコーナーへようこそ。歓迎いたします。ご質問は野菜の栽培上の問題ですので、農研機構野菜花き研究部門の中山真義先生を通して、同部門でキュウリの育種を担当しておられる杉山充啓先生に以下の様な回答をいただきました。

【杉山先生の回答】
「写真を拝見すると、両性花が着果して膨らんだものと思われます。通常、キュウリは雌雄同株型ですが、たまに両性花を着生することがあります。
この両性花が着果すると写真の様な小さい奇形果になることがあります。
何故両性花が丸くなるのか分かりませんが、「Lemon」という品種は両性花を着生する品種で、これも球形に近い形になります(奇形果実ではない)。

写真を拝見する限りでは、両性花といっても完全な両性花ではなく、雄花に不完全な雌蕊が発生したため、写真のようなものになったと想像できます。」
===

なお、私の方からの、丸い小型の果実をつけるキュウリの原種とされるhardwickii(日本でも栽培されている)との交雑とか、原種への先祖返りのような可能性はないかという質問に対して、それは考えにくいということでした。
杉山 充啓(農研機構野菜花き研究部門)
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2024-08-08