質問者:
小学生
トミー
登録番号6007
登録日:2024-08-24
僕は今自由研究で桐とアオギリの葉を観察しています。桐とアオギリ
アオギリの葉には、アカメガシワのような蜜腺はないのに、いつもアリが葉の表と裏にいます。
アオギリの葉の表面には、無数の小さくてキラキラした腺点が見えました。
もしかしたらここから蜜や粘液などが分泌されるのかなと予想しています。
また、ニホンギリの葉の方には、皿状器官が、葉脈沿いに沢山ありました。葉の大きさに対してどれくらい分布しているか調べています。
桐の葉を見ていると、ヒメイトカメムシが多く観察されました。1枚の葉に1〜4匹くらいいました。しかし不思議なことに、アリは一匹もいなくて、トライコームにアリの死骸が絡みついていました。
だから、ヒメイトカメムシが寄生しながら、桐の葉を害虫から守っているのかなと思いました。このヒメイトカメムシが蜜を吸うのか知りたいです。
また、桐の木にはタンニンが含まれると知って、桐の葉の頭状毛が茶色いのは、タンニンなのかなと思い、証明したいと思っています。
タンニンだとブラックライトを当てるとピンクに光ると知り、桐の葉にブラックライトを当てて観察しましたが、よくわかりませんでした。
次に、タンニンだけを抽出できないか、桐の葉柄のトライコームをハサミで削って集め、無水エタノールに入れて、それをブラックライトにあてましたがピンク色に光らずまだ上手く行っていません。
桐のトライコームにタンニンが含まれるか知りたいです。
よろしくお願いします。
トミー君
Q&Aコーナーへ再度ご来場ありがとう。歓迎いたします。トミー君は細かいところまで観察して、次から次へと植物と昆虫の不思議な世界を理解しようとしているのですね。素晴らしい探求精神です。さて、今回もいろいろ知りたいことを書いていますが、正解を挙げられるかどうかは自信がありません。というのは昆虫と植物との関係は奥が深く、はっきりしないことが多いからです。今では植物の進化との関係でも盛んに研究が進められています。トミー君の知りたい疑問は、昆虫の行動を調べたり、防虫に関係する研究の分野で多く扱われています。調べてみると、そういう分野でかなり詳しく研究が進んでいるのは、アカメガシワを材料としています。残念ながらアオギリの葉が研究材料となった報告は見つかりませんでした。しかし、これらの報告を読んで、証拠はありませんが、推察できることを回答とすることにします。
アオギリの葉は若いうちは裏表両面と葉柄にも星形をしたトライコーム(星状毛)が沢山ありますが、成長と共に減少し、最後は裏面の葉脈と葉柄の上にだけ残ります。トライコームの役割については、本コーナーに沢山の質問がありますので、「トライコーム」で検索して勉強してください。その一つに虫害をさけるために忌避(きひ)あるいは有毒物質を分泌したりするものもあります。トミー君がキリの葉で観察したアリの死骸はその結果なのかどうかは分かりません。アオギリの成葉の表にはトライコームはないようですので、アオギリの成葉ではアリとトライコームの関係は特にないかもしれません。なお、トライコームにタンニンが含まれるのは珍しいことではなく、それは葉の本体にあるのと同じく葉の捕食者(昆虫など)の防ぎょ物質として存在していると考えられています。本コーナーにも50以上のタンニンに関係する質問が寄せられていますので、読んでみてください。トライコームの構成成分については登録番号2383を見てください。
さて、アオギリの葉に蜜腺がないのにどうしてアリがいるかということですが、トミー君は葉の表面にある無数の腺点からアリを呼び寄せる蜜などが出ているのではないかと予想していますね。しかし、アカメガシワでは腺点には有毒な物質が詰まっていて、捕食者から守る防ぎょ的役割を持っていると考えられています。腺点は若い葉に分布密度が高く、成葉では密度も低く、形態も若葉のそれのように張りつめていないということです。トミー君が観察した無数の腺点があった葉は若葉あるいは成葉?。もし腺点であり、アカメガシワと同じ働きをしているとすれば、アリは寄りつかないのではないでしょうか。腺点については本コーナーでもあつかっていますので参考にしてください(登録番号1809)。
アリが寄ってくるのはなにか寄せつけるものがあるからに違いありません。そして、アオギリもアリを寄せつけることでなにかメリット(得すること)があるのでしょう。たぶん、他の植物にも例があるように、アリが害虫を追い払ってくれるからだと考えられます。
トミー君が観察したアオギリは花がついていましたか。花には蜜腺がありますが、花以外のところ、例えば、花柄や若い葉柄や未じゅくな果実の果柄の根元にもあります(花外蜜腺)。ここへはアリもきます。そして、ガが卵を産みつけたり、若い組織を食べたりすることを防いでくれています。その様な花外蜜腺を訪れるアリがたまたま葉身(ハッパ)の裏表をさまよっているのかもしれません。
もう一つ考えられるのは、もしトミー君の見たのが腺点ではなくて、粒状分泌物とよばれる半とうめいな膜のなかに液体が入った袋状の粒だったとしたら、その中にはアリの好物の脂肪分が沢山含まれていますので、とうぜんアリが寄って来ても不思議ありません。しかし、この分泌物はやはり若い葉の葉脈から分泌されて、成葉には見られないそうです。
Q&Aコーナーへ再度ご来場ありがとう。歓迎いたします。トミー君は細かいところまで観察して、次から次へと植物と昆虫の不思議な世界を理解しようとしているのですね。素晴らしい探求精神です。さて、今回もいろいろ知りたいことを書いていますが、正解を挙げられるかどうかは自信がありません。というのは昆虫と植物との関係は奥が深く、はっきりしないことが多いからです。今では植物の進化との関係でも盛んに研究が進められています。トミー君の知りたい疑問は、昆虫の行動を調べたり、防虫に関係する研究の分野で多く扱われています。調べてみると、そういう分野でかなり詳しく研究が進んでいるのは、アカメガシワを材料としています。残念ながらアオギリの葉が研究材料となった報告は見つかりませんでした。しかし、これらの報告を読んで、証拠はありませんが、推察できることを回答とすることにします。
アオギリの葉は若いうちは裏表両面と葉柄にも星形をしたトライコーム(星状毛)が沢山ありますが、成長と共に減少し、最後は裏面の葉脈と葉柄の上にだけ残ります。トライコームの役割については、本コーナーに沢山の質問がありますので、「トライコーム」で検索して勉強してください。その一つに虫害をさけるために忌避(きひ)あるいは有毒物質を分泌したりするものもあります。トミー君がキリの葉で観察したアリの死骸はその結果なのかどうかは分かりません。アオギリの成葉の表にはトライコームはないようですので、アオギリの成葉ではアリとトライコームの関係は特にないかもしれません。なお、トライコームにタンニンが含まれるのは珍しいことではなく、それは葉の本体にあるのと同じく葉の捕食者(昆虫など)の防ぎょ物質として存在していると考えられています。本コーナーにも50以上のタンニンに関係する質問が寄せられていますので、読んでみてください。トライコームの構成成分については登録番号2383を見てください。
さて、アオギリの葉に蜜腺がないのにどうしてアリがいるかということですが、トミー君は葉の表面にある無数の腺点からアリを呼び寄せる蜜などが出ているのではないかと予想していますね。しかし、アカメガシワでは腺点には有毒な物質が詰まっていて、捕食者から守る防ぎょ的役割を持っていると考えられています。腺点は若い葉に分布密度が高く、成葉では密度も低く、形態も若葉のそれのように張りつめていないということです。トミー君が観察した無数の腺点があった葉は若葉あるいは成葉?。もし腺点であり、アカメガシワと同じ働きをしているとすれば、アリは寄りつかないのではないでしょうか。腺点については本コーナーでもあつかっていますので参考にしてください(登録番号1809)。
アリが寄ってくるのはなにか寄せつけるものがあるからに違いありません。そして、アオギリもアリを寄せつけることでなにかメリット(得すること)があるのでしょう。たぶん、他の植物にも例があるように、アリが害虫を追い払ってくれるからだと考えられます。
トミー君が観察したアオギリは花がついていましたか。花には蜜腺がありますが、花以外のところ、例えば、花柄や若い葉柄や未じゅくな果実の果柄の根元にもあります(花外蜜腺)。ここへはアリもきます。そして、ガが卵を産みつけたり、若い組織を食べたりすることを防いでくれています。その様な花外蜜腺を訪れるアリがたまたま葉身(ハッパ)の裏表をさまよっているのかもしれません。
もう一つ考えられるのは、もしトミー君の見たのが腺点ではなくて、粒状分泌物とよばれる半とうめいな膜のなかに液体が入った袋状の粒だったとしたら、その中にはアリの好物の脂肪分が沢山含まれていますので、とうぜんアリが寄って来ても不思議ありません。しかし、この分泌物はやはり若い葉の葉脈から分泌されて、成葉には見られないそうです。
勝見 允行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2024-08-27