質問者:
その他
山本 真
登録番号0601
登録日:2006-04-22
今、中学3年のクラスに動植物の細胞に付いて授業をしています。植物の細胞について
練習問題にあったものですが、「葉緑体、細胞壁、液胞の内、植物細胞に必ずあるものはどれか?」という質問に対し、答えは「細胞壁」でした。この内、例えば根の部分の細胞に葉緑体がないことは直感的に分かります。
しかし、液胞を持たない植物細胞とは一般にどの部分の細胞なのでしょうか?
身近に出来る範囲で調べてみたのですが分からなかったため、質問いたします。解答いただけると幸いです。
御質問コーナー、どんな質問にも専門家が丁寧に解答しておられ、感激しました。今後とも貴HPのご発展をお祈り申し上げます。
山本 真 様
私が前に滞在していたミシガンからのご質問ありがとうございます。State flowerであるリンゴの花が間もなく咲き始める頃でしょうか。さて、液胞は生きている植物細胞には例外なく見られます。分裂直後の若い細胞では、液胞は小さい形ですが、細胞の生長につれ融合して大きくなり、成熟した細胞では液胞が体積の90%を占める状態になります。葉の細胞では葉緑体などは細胞の周りに張り付いて液胞に遠慮しているように見えます。液胞は無機養分、蛋白質の貯蔵、加水分解酵素による細胞成分の調節、細胞のpH調節など、排泄器官をもたない植物細胞の機能にとって多面的な役割をもっています。
植物は動物と異なり骨格をもっていませんが、その代わり動物のように古くなって死んでしまった細胞を捨てないでこれをリグニンなどで細胞壁を厚くして木部を形成し、小さな葉の木部組織から、樹齢何千年の樹木の木部組織に至るまで、植物体の支持組織となっています。木部には水の通路となる道管がありますが、光合成産物の通路となる表皮側の生きた細胞から構成されている師部にある師管と異なり、死んだ細胞です。このように木部は死んだ細胞から構成されているため、液胞は消滅してしまっています。従って、設問の「植物細胞に必ずあるもの」の「植物細胞」が木部の細胞を含んでいるとすれば、生きていない木部の細胞でも細胞壁は残っているために「細胞壁」が正しい答えになります。
私が前に滞在していたミシガンからのご質問ありがとうございます。State flowerであるリンゴの花が間もなく咲き始める頃でしょうか。さて、液胞は生きている植物細胞には例外なく見られます。分裂直後の若い細胞では、液胞は小さい形ですが、細胞の生長につれ融合して大きくなり、成熟した細胞では液胞が体積の90%を占める状態になります。葉の細胞では葉緑体などは細胞の周りに張り付いて液胞に遠慮しているように見えます。液胞は無機養分、蛋白質の貯蔵、加水分解酵素による細胞成分の調節、細胞のpH調節など、排泄器官をもたない植物細胞の機能にとって多面的な役割をもっています。
植物は動物と異なり骨格をもっていませんが、その代わり動物のように古くなって死んでしまった細胞を捨てないでこれをリグニンなどで細胞壁を厚くして木部を形成し、小さな葉の木部組織から、樹齢何千年の樹木の木部組織に至るまで、植物体の支持組織となっています。木部には水の通路となる道管がありますが、光合成産物の通路となる表皮側の生きた細胞から構成されている師部にある師管と異なり、死んだ細胞です。このように木部は死んだ細胞から構成されているため、液胞は消滅してしまっています。従って、設問の「植物細胞に必ずあるもの」の「植物細胞」が木部の細胞を含んでいるとすれば、生きていない木部の細胞でも細胞壁は残っているために「細胞壁」が正しい答えになります。
JSPPサイエンスアドバイザー
浅田 浩二
回答日:2006-04-28
浅田 浩二
回答日:2006-04-28