一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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サルスベリの白く縁どりされた花について

質問者:   その他   竹津
登録番号6015   登録日:2024-09-11
 今まで赤・ピンク・白のサルスベリを見てはおりますが、今年丈の低い赤いサルスベリがあり、花を見ると白い縁取りとなっているものがあることに気が付きました。
 別の場所にある、ピンク色の木を見ますと花が白くなっているものがありました。
 サルスベリの花の構造についてはネットで検索すると詳しく出ていましたが、花の色が白くなったり、縁取りになる事については回答が得られませんでした。
 受粉が済んだ花の花びらがそう言う状態になるのか、病気なのか不思議に思い、質問致しました。
 よろしくお願い致します。

竹津様

こんにちは。日本植物生理学会の植物Q&Aコーナーに寄せられたあなたのご質問「サルスベリの白く縁どりされた花について」にお答えします。
花弁の白い縁取りはアサガオやペチュニアの花でよく見られる「覆輪」という形質(本Q&Aコーナーの登録番号1970をご覧ください)と同じものではないでしょうか。花弁の先端でだけ、赤色の元であるアントシアニン合成にかかわる遺伝子の発現が抑えられるために白くなるものと思われます。一つの花の全ての花弁に同じような縁取りがあり、花全体は健全に見えますので、開花後に病害などの外因によって引き起こされたもののようには思えません。また、受粉の結果として花弁に縁取りが出来るという例は無いと思いますし、もし受粉が影響したものであるとすれば、どの花も同じ縁取りが出来るでしょうが、そうではないので、この可能性も消去してよいでしょう。覆輪という特性を備えた園芸品種をご覧になったのであろうと思います。
一つの花の中の一部の花弁が白いのは、キメラだろうと思います。ツツジやシモツケなどでよく見られるもので、本Q&Aコーナーでもいくつか(登録番号4274, 5952など)取り上げられていますので、ご覧ください。これも、上記の白い縁取りの場合と同じく、開花後の偶発的なものではなく、園芸品種としての特性と思われます。
竹能 清俊(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2024-09-15