一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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酸性土壌のアルミニウムについて

質問者:   自営業   たまねぎ
登録番号6019   登録日:2024-09-17
土壌が酸性化するとアルミニウムが溶け出し、根に障害を与えるとの事ですが、

リン酸アルミニウムも根に障害を与えるのでしょうか?
たまねぎ 様

本コーナーへの質問、ありがとうございました。

リン酸アルミニウムも、酸性土壌条件(pH 5以下)ではアルミニウムがイオン化して、根の伸長阻害を引き起こします。アルミニウムは、地殻中では酸素、ケイ素に続く3番目に多い元素ですが、中性付近では主にケイ酸アルミニウムとして不溶化しており、植物の成育を阻害することはありません。酸性土壌障害の主要因の一つが、アルミニウムイオンの害作用になります。酸性化を防ぐため、農業現場では石灰を適宜投入しています。

一方で、アルミニウムイオンがあっても良好に成育する植物もあり、例えばチャは多量に含むカテキンでアルミニウムをキレート化して、無毒化しています。アジサイではクエン酸が、ソバではシュウ酸がキレート化して無毒化することが知られています(エッセンシャル植物栄養学、124ページ、講談社、2022年)。本コーナーにも、アルミニウムや酸性土壌の質問や回答がたくさんありますので、これらも参考にして下さい。
山谷 知行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2024-09-20