質問者:
自営業
シンユカ
登録番号6026
登録日:2024-09-30
近所のオミナエシを毎年観察していたところ、今年は花序から葉茎が出てきました。これが成長して新たなツボミをつけており、不思議な多段構造になっています。みんなのひろば
オミナエシの花序から葉が出てさらにまた花が。
これは「貫生」と呼ばれる現象でしょうか。周囲の他の株にも同様の現象が見られます。
このような変異が起きる背景としては、ABCEモデルの遺伝子変異が関係するのでしょうか。どのような原因が考えられるか、お教えいただければ幸いです。
シンユカ様
こんにちは。日本植物生理学会の植物Q&Aコーナーに寄せられたあなたのご質問「オミナエシの花序から葉が出てさらにまた花が」にお答えします。
現物の写真を拝見していませんが、花序から茎葉が出て、これに花が着いて多段構造になっているという記述から、仰る通り貫生で間違いないと思います。
花序の先端や花の中心は生長が停止した状態ですが、稀に生長を再開して栄養茎が伸び出したり、また花ができたりすることがあります。いずれも貫生と呼ばれる現象ですが、後者の花は特に貫生花と呼ばれます。ABCモデルのC機能が失われた変異体では花の中心部で萼片と花弁の形成が繰り返されて八重咲になりますが、これも貫生花とされているようです。本Q&Aコーナーの登録番号2494で詳しく説明されています。この場合は遺伝子の変異によって説明できるものですが、一方で、突然変異ではなく環境条件によって誘起される生理障害であるとされるものもあるようです。登録番号0625のバラの貫生花はその例として説明されています。貫生花と言っても、ABCモデル関連の遺伝的な変異によるものと、そうでないものの二通りがあるようです。前者は萼片・萼片・花弁の繰り返される八重咲となり、後者は必ずしもそうではなく茎や葉を伴うことがあります。バラの貫生花とされるものは比較的に出現頻度が高いようで、ネットでもそのような写真をいくつも見ることができますが、それらの写真の多くは花の構造がはっきり写っていませんので、どちらとも判断できません。
花序の先端や花の中心から栄養茎が伸び出す貫生は、登録番号3528や登録番号5744で紹介されています。あなたが観察されたオミナエシの貫生も花序が一旦栄養生長に戻ったわけですから、ABCモデルで説明できる花形態形成の遺伝子変異ではないと思います。周囲の他の株にも同様の現象が見られるとのことですので、個体レベルで起こった突然変異というよりは、環境要因によって誘導されたものと思います。このタイプの貫生の制御機構は詳しく研究されていないようです。
こんにちは。日本植物生理学会の植物Q&Aコーナーに寄せられたあなたのご質問「オミナエシの花序から葉が出てさらにまた花が」にお答えします。
現物の写真を拝見していませんが、花序から茎葉が出て、これに花が着いて多段構造になっているという記述から、仰る通り貫生で間違いないと思います。
花序の先端や花の中心は生長が停止した状態ですが、稀に生長を再開して栄養茎が伸び出したり、また花ができたりすることがあります。いずれも貫生と呼ばれる現象ですが、後者の花は特に貫生花と呼ばれます。ABCモデルのC機能が失われた変異体では花の中心部で萼片と花弁の形成が繰り返されて八重咲になりますが、これも貫生花とされているようです。本Q&Aコーナーの登録番号2494で詳しく説明されています。この場合は遺伝子の変異によって説明できるものですが、一方で、突然変異ではなく環境条件によって誘起される生理障害であるとされるものもあるようです。登録番号0625のバラの貫生花はその例として説明されています。貫生花と言っても、ABCモデル関連の遺伝的な変異によるものと、そうでないものの二通りがあるようです。前者は萼片・萼片・花弁の繰り返される八重咲となり、後者は必ずしもそうではなく茎や葉を伴うことがあります。バラの貫生花とされるものは比較的に出現頻度が高いようで、ネットでもそのような写真をいくつも見ることができますが、それらの写真の多くは花の構造がはっきり写っていませんので、どちらとも判断できません。
花序の先端や花の中心から栄養茎が伸び出す貫生は、登録番号3528や登録番号5744で紹介されています。あなたが観察されたオミナエシの貫生も花序が一旦栄養生長に戻ったわけですから、ABCモデルで説明できる花形態形成の遺伝子変異ではないと思います。周囲の他の株にも同様の現象が見られるとのことですので、個体レベルで起こった突然変異というよりは、環境要因によって誘導されたものと思います。このタイプの貫生の制御機構は詳しく研究されていないようです。
竹能 清俊(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2024-10-27