一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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足跡が植物の芽生えに及ぼす影響

質問者:   高校生   遠藤悠太
登録番号6050   登録日:2024-11-12
私は土壌について勉強しています。ついこの前畑仕事を手伝った時にふと「土に足跡をつけることで、どのように土壌の生物及び芽生えの出現に影響与えるのか」という疑問が思い浮かびました。そもそも足跡をつけること自体植物の芽生えに影響があるのでしょうか。
ご回答よろしくお願いします。

質問内容:「土に足跡をつけることで、どのように土壌の特性に影響を与え、どのように土壌の生物及び芽生えの出現に影響与えるのか」
遠藤悠太 様

本コーナーへの質問、ありがとうございました。

結論から申しますと、数十Kgの人が畑土壌に足跡をつけても、土壌生物や植物の芽生え・その後の成育には、ほとんど影響はないと思われます。畑の土壌は、粘土鉱物や植物由来の腐植などで構成される団粒という構造をとっていて、団粒の内外で気相を含む保水性と排水性に富んでいます。足跡をつけた土壌では、この団粒構造が大きく変化することはないと思われます。今ではあまり見られなくなってきていますが、秋まきの麦類が発芽した後、足で踏みつける「麦踏み」という作業が重要でした。現在では、トラクターでローラーをひいているようですが、この麦踏みは、霜柱などの凍霜害を防ぎ、根張りを良くして耐寒性を深め、徒長を防いで生長後の倒伏をなくする効果があると考えられています。
山谷 知行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2024-11-19