一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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カルスと不定胚の違い

質問者:   その他   近藤
登録番号0606   登録日:2006-04-24
カルスと不定胚の大きな違いは何ですか?
近藤様

ご質問にお答えします。
例えば、葉、茎.根、花などの一部をとりだして、ある条件下で無菌的に培養すると、それらの組織を構成している細胞が分裂をはじめ細胞が増殖します。これらの細胞はもとの分化した細胞ではなく、未分化の状態のもので、ただ細胞の塊のようなものです。これをカルスと呼んでいます。このように一度分化した細胞が未分化の状態になることを「脱分化」といいます。
通常の「胚」は配偶子(精細胞と卵細胞)が受精してできた接合子(受精卵)が分裂を繰り返して形成され、種子の中に納まりますが、「不定胚」は植物体の体細胞が接合子と同じような過程をへて直接に形成される胚と同等のものです。カルスからもできます。不定胚も培養によって完全な個体にまで育てることができます。
しがって、カルスと不定胚の基本的な違いは、前者は未分化のものであり、後者は分化したものです。
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2006-04-25