一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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シソの葉の匂い

質問者:   高校生   むらさき
登録番号6077   登録日:2025-01-08
私はシソの匂いが好きでよく食べるのですが、街路樹のカエデなどの葉には匂いがないのに対して、シソの葉には強い匂いがあります。
何の目的でシソに匂いがあるのか、匂いが無くなったらどうなるのか疑問に思いました。
むらさき様

ご質問ありがとうございます。
シソなどのいわゆるハーブ類には、香りを持つものがたくさんあります。
その理由は、防御のためといわれていますが、完全に解明されているわけではありません。

シソの匂いは、葉の表面にある腺毛という組織で作られており、触れたり食べられたりするとそれが壊れて匂い物質が出てきます。
その成分はペリルアルデヒドと呼ばれる揮発性物質を中心にリモネン、ピネン、カリオフィレンなどです。
中でもペリルアルデヒドは強い抗菌作用を持つことが知られています。

匂いがなくなると、昆虫に食べられる危険性が上がったり、菌に感染するようになる可能性があります。

一方、街路樹など樹木の葉は、シソの葉に比べると、表面が硬く、ワックス成分なども含みます。
そのような手法で外的から身を守っている可能性もあります。

動くことのできない植物は、さまざまな防衛手段をもって、対抗しているのです。
吉田 久美(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2025-02-14