一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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たかのはすすきの斑

質問者:   その他   サガミのタンポポ
登録番号6095   登録日:2025-02-03
たかのはすすきを10年位育ててきました。毎年夏と冬に刈り込んで育てています。ここ二年くらいで斑が少なくなってきました。特に肥料もやってません。日当たりは良く乾燥気味な場所で生育は良いと思います。斑がふえるためにどうしたらよいでしょうか。
サガミのタンポポ 様

この度はみんなのひろばQ&Aのコーナーにご質問いただきありがとうございました。
回答は、植物の光環境適応を様々な角度から研究されている岡山大学資源植物科学研究所 教授 坂本亘先生からいただきました。

【坂本先生からの回答】
サガミのタンポポさん
タカノハススキを育てられているとのこと、単子葉の斑入りは神秘的ですね。この手の縞模様はイネなどの作物でも知られています。専門的には「ビレッセント」という変わり種のひとつで、シマウマの模様に似ていることから「ゼブラ」と呼ばれています。ビレッセントとゼブラについては登録番号5100で以前に説明しています。よければ目を通してみてください。
要点を述べると、タカノハススキやイネのゼブラでは、芽の先端から葉ができるとき、緑になるごく初期の段階で、昼夜の光や温度に影響を受けて縞模様になると考えられています。九州大学の楠見健介さんらのイネを用いた研究では、昼夜の寒暖差が大きかったり、日中の光が強いほどゼブラの模様が強く出ると報告されています。夜をなくして温度を一定にした培養室でゼブラを育てると、縞模様が出なくなります。
サガミのタンポポさんは、夏と冬に刈り込んでいるようですが、刈り込む時期を少し変えてみてはどうでしょう。冬の終わりか春先にしっかり刈り込んで、夏までに温度や光の変化を受けさせて成長すると縞模様が回復するかもしれません。穂がしっかり出ているなら施肥の必要はなさそうですが、株が増えすぎていたら、少なくしてみると葉の成長が戻って縞が出やすくなるかもしれませんね。栽培の専門家ではないので「かもしれない」ばかりですが、もし試して斑が回復したら、ぜひ教えてください。
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坂本先生は、これまでにもこのコーナーで斑入りに関して多くご回答いただいています。
Q&Aにある検索窓より”斑入り”などキーワードを入れて過去の回答も併せてお楽しみいただければ幸いです。
坂本 亘(岡山大学資源植物科学研究所)
JSPPサイエンスアドバイザー
藤田 知道
回答日:2025-02-12