一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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アマリリスの色変わりについて

質問者:   一般   kannon
登録番号6105   登録日:2025-02-14
土と水のいらない「マジックアマリリス」を3年前の冬に購入しました。すぐに白に端が少しピンクがかった花が咲きました。そして咲き終わった後、鉢に植えてやることにしました。植え替えてその年の冬は葉が成長し根もはり、球根も太って何の支障もなかったのですが、花は咲かずに終わりました。
そして今年、ようやく咲いたのですが白地ではなく、オレンジがかった赤い色と1年目とは全く違う色でした。
背丈もかなり伸びています。
他のアマリリスとの取り違えでもなく、1年目と違うのはただ土に植えてやった点だけです。
用土の成分が色の変化に関わっているのでしょうか。
それとも交配した親の遺伝子が発現する「先祖返り」のようなことがあるのでしょうか。

教えていただけるとありがたいです。
よろしくお願いいたします。
kannonさん

ご質問をいただきありがとうございます。
「マジックアマリリス」
私申し訳ないことに知りませんで、インターネットで調べました。
オランダの花き生産者が販売しているもので球根のままごろんとおいておくと成長して花芽がついて咲くというものだそうですね。
ただ、二年目にはそうはいかず、土に植え替える必要があるようです。
球根は、基本的に成長して花がさくまでの栄養分を蓄えていますから、たとえばヒアシンスやチューリップなどでも水耕で育てることができます。
このマジックアマリリスは、さらに水も空気中から必要な分を得ることができるようです。

ところで、花の色ですが、これは、マジックアマリリスにも何種類かあるようで、この「マジック」という一年目の成長に関わることとは、また別の性質になるかと考えます。
花の色には遺伝子が関わっており、メンデルのエンドウの実験でわかったように顕性(以前は優性と言ってました)潜性(以前は劣性)という性質によって表現される形質が決まります。

もちろん、球根からそのまま次年度も成長してくるので、種子のように雌雄で授精がおこったわけではありませんが、それ以外に現在、動く遺伝子やDNAの様々な修飾によって、形質が変わることが知られています。
このアマリリスの花色の変化についても、そのような現象が関わっているのかもしれません。

中でも、斑入りと呼ばれる花色(アサガオでよく研究されていますが)は、動く遺伝子(トランスポゾン)によって起きる現象ですので、その可能性もあるかもしれません。

あまり明確な返答にはならず申し訳ありません。
吉田 久美(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2025-02-27