質問者:
中学生
植物について知りたい人
登録番号6108
登録日:2025-02-16
今、中学校で藻の生命力について研究を行っていて、その際に水中には二酸化炭素や酸素などはないはずなのにどうして光合成を行うことができるのだろうと疑問に思ったので質問したいと思いました。
藻類(海藻など水中に生息するもの)はどのようにして光合成を行っているのか
植物について知りたい人 様
みんなのひろば、植物「Q&A」に質問をお寄せくださりありがとうございます。
緑藻による水中の二酸化炭素の利用の仕組みについて研究されている、福澤秀哉・京都大学名誉教授から回答をいただきました。
【福澤先生の回答】
大気中には二酸化炭素(CO2)と酸素が含まれているため、大気と接する湖水や海水には、二酸化炭素と酸素が溶け込んでいます。
水中で生活する魚は、エラ呼吸によって水中に溶け込んだ酸素を取り込み、炭水化物の分解に利用します(呼吸)。また、その際に発生するCO2はエラ呼吸によって吐き出されます。一方、顕微鏡でしか見ることのできない微細な藻類(植物プランクトン)や海藻も、呼吸に水中の酸素を利用しています。しかし、藻類は太陽光を受けるとCO2を体内に取り込み、光合成によって炭水化物を生産します。炭水化物の生産(CO2の還元反応)には、太陽エネルギーを利用して水を分解したときに得られる還元性物質が必要です。この水の分解によって生じた酸素は、水中に放出されます。
水中で二酸化炭素は、電荷を持たないCO2分子として存在するだけでなく、水と反応して重炭酸イオン(HCO3-)とプロトン(H+)を生成します。このHCO3-も一定の割合で水中に存在します。十分な日光が藻類の細胞に照射されると光合成反応が進み、水中のCO2が消費し尽くされます。すると細胞は、自分のエサ(CO2)が枯渇したことを察知して、新しい能力を発揮します。細胞はHCO3-を積極的に取り込むようになり、さらに炭酸脱水酵素を使ってHCO3-からCO2を生成します。このCO2を使うことで光合成による藻類の生育が維持されます。
このように、水中の藻類は、環境中の光やCO2濃度の変化に応じて、異なる炭素源を光合成に有効に利用する能力(無機炭素濃縮機構)を備えているのです。
★★★
以前、関連する質問に福澤先生が回答しておられます(登録番号2306)。内容は若干難しいですが、ご参照下さい。
みんなのひろば、植物「Q&A」に質問をお寄せくださりありがとうございます。
緑藻による水中の二酸化炭素の利用の仕組みについて研究されている、福澤秀哉・京都大学名誉教授から回答をいただきました。
【福澤先生の回答】
大気中には二酸化炭素(CO2)と酸素が含まれているため、大気と接する湖水や海水には、二酸化炭素と酸素が溶け込んでいます。
水中で生活する魚は、エラ呼吸によって水中に溶け込んだ酸素を取り込み、炭水化物の分解に利用します(呼吸)。また、その際に発生するCO2はエラ呼吸によって吐き出されます。一方、顕微鏡でしか見ることのできない微細な藻類(植物プランクトン)や海藻も、呼吸に水中の酸素を利用しています。しかし、藻類は太陽光を受けるとCO2を体内に取り込み、光合成によって炭水化物を生産します。炭水化物の生産(CO2の還元反応)には、太陽エネルギーを利用して水を分解したときに得られる還元性物質が必要です。この水の分解によって生じた酸素は、水中に放出されます。
水中で二酸化炭素は、電荷を持たないCO2分子として存在するだけでなく、水と反応して重炭酸イオン(HCO3-)とプロトン(H+)を生成します。このHCO3-も一定の割合で水中に存在します。十分な日光が藻類の細胞に照射されると光合成反応が進み、水中のCO2が消費し尽くされます。すると細胞は、自分のエサ(CO2)が枯渇したことを察知して、新しい能力を発揮します。細胞はHCO3-を積極的に取り込むようになり、さらに炭酸脱水酵素を使ってHCO3-からCO2を生成します。このCO2を使うことで光合成による藻類の生育が維持されます。
このように、水中の藻類は、環境中の光やCO2濃度の変化に応じて、異なる炭素源を光合成に有効に利用する能力(無機炭素濃縮機構)を備えているのです。
★★★
以前、関連する質問に福澤先生が回答しておられます(登録番号2306)。内容は若干難しいですが、ご参照下さい。
福澤 秀哉(京都大学名誉教授)
JSPPサイエンスアドバイザー
宮尾 光恵
回答日:2025-03-03
宮尾 光恵
回答日:2025-03-03